◆脚本術/ビート仕分け◆ - さかえのよ
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(潮)映画「パンズラビリンス」の解釈など

パンズラビリンス
03 /07 2019
ビート仕分け記事の続きです。
こんな長い記事を最初から読んでくださった方、ほんとにありがとうございます。
さぁさぁ、私の情熱がそろそろ噴き出し終わりますよ。


*****


【オフェリアはどこへ帰ったのか】

覚えてますでしょうか、冒頭で姫が逃げてきたとされる国が暗く光の届かない世界だったことを。
そして気になりませんでしょうか、ラストでオフェリアが帰ったとされる国が光輝いた金色の世界だったことが。
私は初見時、この違いが大変気になりました。
違うじゃん!
違う世界に帰ってるじゃん!
そしてビート仕分けして得た解釈がこちらです。

暗い地下王国のほうは、大尉が作ったお話。
光の王国のほうは、オフェリアが作ったお話。

何度も言いますが、私は冒頭と締めナレの声は大尉の声であると前提してこれを書いています。
その前提でビート仕分けして見えてきたのは、大尉もオフェリアと同じ心を持っているということ。
「純真さ(魔法を信じるような子供心)」を持っている人間だったということです。

純真さを押し殺して、父親からこのようにしろと言われたことに従って生きてきた大尉。
父に歯向かうこともなく従順に育った結果が、鬼軍人という仕上がり。
そんな鬼軍人として生きなければならない日々の中でも、大尉の誰にも知られることのない心の中では、ファンタジックな「おとぎ話」が流れる瞬間があったのではないでしょうか。
それが冒頭と締めを飾るナレーションの「ストーリー」なのでは、と私は思いました。
大尉の心境はほとんど説明されていないので推測の域を出てないですが、ビートが示すことと、大尉が鏡に映る自身の首を切ったシーンで私はこの解釈でいこうと決めました。

一方、オフェリアが作った話のほうはどうでしょう。
この映画を見て多くの方が感じるように、守護神パンや妖精や試練などは、すべてオフェリアの妄想だったと私も思います。
妄想でなければ夢です。現実を凌駕するほどの夢です。
幼い子供がこの辛い現実から逃れるために、自分の心を守るために見た妄想、夢。
死の間際、あまりにひどい現実の最後、オフェリアは自分を救うためのストーリーを作り上げたのです。

暗い地下王国のほうは、大尉が作ったお話。
光の王国のほうは、オフェリアが作ったお話。

つまりオフェリアと大尉、二人がそれぞれ自分の中で作ったお話。
二つの、別の妄想話なのです。
ですがこの二つの話が、まるで一つの話のようにうまく絡み合っているように見せている、そんな映画なのではないかと私は思いました。
オフェリアと大尉は本質的に似ている存在でした。
ですから作り上げるお話もまた似ている、ということなのではないかと。

ラストでオフェリアは他のどこでもない、自分の世界に帰ったのだと思います。
そして大尉もきっと…自分の世界に帰っていて欲しい。(これは私の希望)



【ハッピーエンドなのかどうか】

パンの態度は、大人が子供に躾(と称した強制・脅し)をする時とよく似ています。
パンの発言は時間の経過とともに以下のように変わります。


「私はあなたのしもべです」
(と言いつつ、このようにしろと指示)



「あなたに嘘などつくわけがない」
(と言いつつ、核心的な疑問をはぐらかす)



「約束を果たしていないようだな! そんなことが言い訳になるとでも思うのか!」
(言いつけを守れなかった子供に対し怒り、言いつけを守れない原因を退ける案を与える。そしてとっとと次の試練に向かって耐えてこいと急かす)



「だめだ、あなたはもう過ちを犯した! 試練に負けたのだ! もう二度と会うことはない、永遠にな!」
(言いつけを守れなかった失敗を責め立て、お前にはもう二度とチャンスはないと脅し、冷たくサヨナラとか言い出す)



「最後のチャンスを与えてあげよう。言う通りにするかね? たとえそれがどんなことでも質問してはいけないよ」
(子供が絶望し落ち込み切ったところで再び登場し、希望をちらつかせて言うことをきかせる。子供をコントロールし、服従させる)



「無垢なる者の血をささげなければ、扉は開かないのです。さぁ早く! そんなよく知りもしない赤ん坊のために、あなたにすべての不幸をもたらした者のために、王家の位を捨てるのか!」
(純真さなど捨てなければ未来はないと脅して強要。さぁ殺せ、無垢な心など殺して大人になれ、とせまる)



「ならば王女様の御心のままに、好きになさればよろしいでしょう」
(どうしても言うことを聞かなかった子供を見捨てるようなことを言い、いなくなる)


といったように。

こんなにもパンが「従え」と迫ってきて、色々言いなりになった時もあったけど、結局オフェリアは反旗を翻しました。
私は私の思うようにすると宣言したのです。
ですから私は、たとえパンがオフェリアの妄想だったとしても、その結果肉体が殺されてしまったとしても、ストーリーとしてはハッピーエンドだったのだと思います。
独裁者と反逆者の戦いが、映画のテーマだったからです。
その戦いにオフェリアが、反逆者が、子供心が、純真さが、勝利したからです。
その勝利がストーリーとしてはハッピーエンドなのです。

大尉もメルセデスから「あなたの名前すら教えない」とぶった切られたおかげで、魂は救われています。
大尉は自身が受けてきたこの悪しき循環を、息子に受け継がせなくてよくなったのですから。
それはきっと大尉も、心の奥底では望んでいたことです。
軍人ではない少年の自分は、そのように生きたかったはずだからです。



【パンも試練も、本当にオフェリアの妄想だったのか?】

映画を見たあとに残るのが、この疑問です。
だって現実的に、あの意味不明な迷宮と深い縦穴はそこにあったんですよ。
それは製粉所ができるよりずっと前から、そこにあったんですよ。
迷宮の入り口にはパンのような、ヤギの角を持った顔が刻まれているんですよ。
すべてがオフェリアの妄想なら、あの建築物はなんだったんだって疑問が残ります。

そして、オフェリアがカエルと出会った枯れ木に花が咲くんですよ、最後。
すべてがオフェリアの妄想なら、あの花はなんだったんだって疑問も残ります。

妄想のようで、ほんとは妄想じゃないのかもよ?
っていう終わり方なんだと思います。
おとぎ話的だね。
ファンタジー。



*****


と、この辺で終わらせようと思います。
多分書きたかったことは大体書いたと思うので。
「こんなこと覚えとけよ」って提示した伏線とか説明し忘れたとこもあるかもだけど、私はもう満足しました。
気になる方、あとはよろしくお願いします。
丸投げです。
もう疲れちゃった。

とにかくね、私がこんなに長い記事を書いてまで言いたかったのは、

「大尉はかわいい!」

ということです。
だってかわいい!
従順で真面目だったことがいきすぎて、こんな悪役になってしまったなんて。
カワイソすぎて萌え萌えアッパー!
なんかもう不憫でねぇ。
大尉をもっとちゃんと救ってあげて、誰か!
って節に願う。
大尉のアナザーストーリーをプリーズ!

最後まで妄言にお付き合いくださり、ありがとうございました。


(潮)映画「パンズラビリンス」のビート-6

パンズラビリンス
03 /07 2019
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****


◆第3幕

◇フィナーレ
 @夜中に駐屯地を抜け出し、雨の森の中を行くメルセデスとオフェリア
 @しかし大尉に見つかり、捕まってしまう二人



 @大尉がオフェリアの腕を乱暴につかみ、彼女の自室まで引きずってくる

大尉「いつから知ってたんだ!(平手打ちを受けるオフェリア) 私を馬鹿にしていたのか、こいつめ!」

 @侵入者が来たらオフェリアから殺すよう部下に命じ、立ち去る大尉
 @部屋にカギをかけられ、泣き崩れるオフェリア



 @食糧庫にて、縛り上げたメルセデスに尋問開始する大尉

大尉「(部下に)下がっていいぞ」
部下「お一人で大丈夫ですか」
大尉「心配ない、たかが女だ」
メルセデス「たかが女だって思ってたから、だますことができたのよ」
大尉「なるほど、私の弱点を見つけたな。自尊心だ」

 @どんな拷問にかけて白状させてやろうか、とノリノリで拷問用具の説明を始める大尉
 @その間にメルセデスは、普段から隠し持っていたナイフで縄を抜け出す
 @油断しきっている大尉の背中にナイフで襲い掛かるメルセデス
 @割と形勢逆転

メルセデス「私は年寄りでも怪我人でもない! 腐った豚め、あの子に手出しはさせない!」

 @大尉の頬をナイフで切り裂き、食糧庫から逃げ出すメルセデス
 @食糧庫の外では、以前拾った宝くじの当選番号をラジオで確かめている軍人
 @メルセデスが逃げたのに気づき、当選確認がうやむやになる
 @メルセデスを追いかける軍人たち



 @森に逃げ込むも、馬で追ってきた軍人に追いつかれてしまうメルセデス
 @ナイフを取り出して構えるメルセデス

軍人「無駄な抵抗はしないほうがいい。大人しく従うんなら…」
メルセデス「(ナイフを自分の首にあてる)」
軍人「馬鹿な真似はよせ。お前を殺すのは……私の役目だw」

 @自分の命が盾にはならないことを知り、絶体絶命のメルセデス
 @そこへゲリラ仲間たちが登場し、軍人たちを一掃
 @命拾いしたメルセデス、ゲリラリーダーの弟と抱き合う



 @その頃、部屋に閉じ込められているオフェリアのもとにパンが登場する
 @「最後のチャンスを与えてあげよう」とパン
 @泣きながら思わずパンに抱きつくオフェリア

パン「言うとおりにするかね?」
オフェリア「(うなずく)」
パン「たとえそれがどんな事でも、質問してはいけない。これはあなたにとって最後のチャンスだ。弟を連れてきて、ともに迷宮へと向かうのです。できるだけ急がねばならない、王女様」
オフェリア「弟を? でも…」
パン「おっと、質問はいけない」

 @部屋の扉が開かないということで、またチョークをくれるパン



 @メルセデスを殺すことに失敗し、負傷して製粉所に帰ってくる大尉の部下



 @大尉はと言えば、メルセデスに切り裂かれて口裂け女みたいになっちゃった頬を自力で縫合中(ここ大尉の痛々しい演技とCGクォリティの見せ場。たっぷり1分くらいかけて縫合シーンを見せまするw)
 @その後ろでは、大尉の部屋に忍び込んだオフェリアが身を潜めてる
 @オフェリアは大尉の部屋から弟を連れ出すチャンスをうかがっている
 @オフェリアは大尉の机に手をついた拍子に、持っていたチョークを机上に置いてしまう
 @やっとこさ縫合も終わり、チョークの存在に気づく大尉
 @部屋に侵入者がいるのではと探す大尉だが、オフェリアは隠れている
 @そこへやってきた部下に連れられ、部屋を出ていく大尉
 @オフェリアは大尉がガブ飲みしていた酒に、カルメンが飲んでいた睡眠薬をたっぷり入れる



 @負傷して戻ってきた部下から、形勢が不利だということを聞かされる大尉
 @ゲリラ50人に対し、自分たちは20人以下



 @弟を抱きあげるオフェリア

オフェリア「よそへ行くのよ、二人で一緒に。怖がらないで大丈夫だから」 

 @しかし大尉の部屋を出る前に、大尉が帰ってきてしまう
 @慌てて隠れるオフェリア
 @大尉は懐中時計を確かめ、オフェリアが薬を入れた酒を飲み干す
 @大尉の目を盗み部屋を出ようとするオフェリアだが、見つかってしまう
 @外からは爆発音がしている
 @走って逃げるオフェリア
 @早くも薬が効いて、足元ふらつきながら追いかける大尉



 @弟を抱いて建物の外へと逃げるオフェリア
 @外はゲリラが襲撃してきており、銃撃戦のてんやわんや



 @その頃、オフェリアの部屋にメルセデスが到着
 @迎えに来たのに、オフェリアは部屋にはいない
 @メルセデスが部屋を見渡すと、壁にはチョークで描かれたドアが残されている。それはオフェリアが第2の試練の時に描き、砂時計が落ちきるとともに消えたはずのドアだった



 @弟を抱え、製粉所の横にあるあの迷宮へと逃げ込むオフェリア
 @追いかけて自分も入っていく大尉
 @逃げるオフェリアは、迷路の行き止まりに突き当たってしまう
 @しかし石壁が勝手にうごめいて開き、オフェリアはその先へ逃げ込む
 @オフェリアが通るとすぐに石壁は元どおりになり、大尉はオフェリアを見失う



 @迷路最奥にある、井戸のような深い穴までやってきたオフェリア
 @以前は深い穴の底で待っていたパンだったが、今は外でオフェリアを待ち構えていた

パン「王女様、急いで! さぁ早く坊やをこちらへ! 今こそ扉を開ける時がきたのです」(第2の試練でオフェリアが入手した短剣を持っているパン)
オフェリア「その剣はなに?」
パン「この剣を使って無垢なる者の血をささげなければ、扉は開かないのです。ほんの少しあればいいんだ、少しつっつくだけ。これが最後の試練なのです、さぁ早く」
オフェリア「(後ずさって拒否)」
パン「私の言うとおりにすると約束したはずだ! 早く弟を渡せ!」
オフェリア「いやよ! この子は絶対に渡さない!」
パン「そんなよく知りもしない赤ん坊のために、あなたの聖なる権利を手放すというのか? 母の命を奪い、あなたにすべての不幸をもたらした者のために、王家の位を捨てるのか!」
オフェリア「ええ…そうよ……」

 @オフェリアの背後には追いついた大尉が登場
 @大尉の目にはパンが映らず、オフェリアが一人で話しているように見える

パン「ならば王女様のお心のままに、好きになさればよろしいでしょう」(消える)

 @大尉がやってきて、オフェリアから赤ん坊を取り返す
 @「だめよ」と叫んだオフェリアに大尉は発砲し、立ち去る
 @その場に倒れるオフェリア



 @赤ん坊を大事に抱えた大尉が迷路から戻ると、出口をゲリラたちが包囲していた
 @死を悟った大尉は、大人しく息子をメルセデスに差し出す
 @メルセデスが引き取る息子を見つめる大尉
 @大尉が懐中時計を取り出して握りしめる

大尉「息子に伝えろ、父が死んだ時刻を。勇敢に……」
メルセデス「いいえ。あなたの名前さえ教えないわ」

 @メルセデスの言葉に驚いたっぽい表情の大尉だが、すぐに射殺される
 @赤ん坊の泣き声が響く



 @迷路の奥までオフェリアを探しに来たゲリラたち
 @深い穴のふちに倒れているオフェリアを見つけ、近寄るメルセデス
 @オフェリアの腕は穴のほうへ伸びており、そこから垂れるオフェリアの血が深い穴の中へと滴っている
 @オフェリアの血が穴の底にある石像(赤ん坊を抱いたオフェリアとパンをかたどったというもの)にも降りかかる
 @まだオフェリアは生きている
 @その横でメルセデスが子守唄をうたい、冒頭のシーンが今ここだったのだと判明する



 @死のふちにいるオフェリアに光が差し、「娘よ、立つのだ」という王の声が聞こえてくる
 @立ち上がったオフェリアは次の瞬間、魔法の国に戻ってきている
 @そこは金色に輝く王宮で、オフェリアもきれいな身なりをして、玉座には王と王妃が座っている

オフェリア「父上…」
王「そなたは無垢なる者のかわりに血を流した。それこそが最も重要な最後の試練だった」
パン「正しい選択をなさいました。気高き王女様」
王妃「こちらへいらっしゃい、父上の横に座るのです」

 @王妃は髪の色こそ違うがカルメンと同じ顔をしていて、赤ん坊を抱いている
 @化け物に食べられたはずの妖精たちも生きていた
 @オフェリアの帰還をたたえ、光輝く王宮に響く拍手喝采



 @深い穴のそばで死にかけているオフェリア
 @その顔に笑顔が浮かんだあと、オフェリアは息を引き取る
 @泣き崩れるメルセデス
 @深い穴の中が覗き込むように映されるが、穴の底にあの石像が本当にあるのかどうかよくわからない


◇FINイメージ
 @またも冒頭と同じ声で締めのナレーション
 @その内容は…
 ・姫は王様の待つ王国へと戻った
 ・正義と優しさで何世紀も国をおさめた
 ・姫は皆に愛され、この地上の世界に小さなしるしを残した
 ・もし気をつけて探せばきっと(そのしるしに)出会えるでしょう

 @ナレーションとともにオフェリアがカエルに出会ったイチジクの木が映され、枯れ果てていたその枝に一輪の花が咲く
 @花のもとにナナフシが飛んでくる



 
*****


【感想】
疲れました…。
まだ書きたい解釈があります。
長いので次の記事で。



(潮)映画「パンズラビリンス」のビート-5

パンズラビリンス
03 /07 2019
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****


◇迫りくる悪いやつら続き
 @カルメンの寝室では、医者が薬をカルメンに飲ませようとしている
 @ベッドの上でトランプをしているオフェリアとカルメン
 @カルメンは具合が良くなったからもう薬はいらないと断る
 @「不思議なことだ、なによりです」と服薬を取りやめる医者
 @その言葉に笑顔を浮かべるオフェリア



 @一方、食糧庫では吃音症の男が大尉から尋問を受けている
 @大尉の拷問が恐ろしいという描写の数々
 @吃音症の男に対し「3まで詰まらずに言えたら解放してやろう」と持ち掛ける大尉
 @だが案の定、吃音症の男はスムーズに数えられず。拷問を受けることに



 @眠っているオフェリアの寝室にパン登場。相変わらずギーギーした音がする
 @第2の試練の途中、オフェリアが禁を破ってブドウを食べてしまい、妖精たちを犠牲にしてしまったことがパンにばれてしまう

オフェリア「誰にも気づかれないと思ったから!」
パン「だめだ! あなたはもう過ちを犯した!」
オフェリア「過ち…?」
パン「試練に負けたのだ! もう二度と王国へは戻れんぞ! あと3日で満月になる。あなたの魂は永遠に人間の世界にとどまり、さまよい続けるのだ! 人間のように年を取り、人間のように死んでいく。あなたの思い出は時と共に薄れていくのだ。我々のことも次第に忘れ去っていくだろう。そしてもう二度と会うことはない、永遠にな!」

 @泣き出すオフェリア
 @短剣を持って立ち去るパン



 @翌日早朝、食糧庫の前では雨で血まみれの手を洗っている大尉
 @吃音症の男は一晩中の拷問を受け、顔かたちがすっかり変わってしまっている
 @大尉に呼びつけられた医者が手当てを指示される
 @医者が手当てに専念している間、彼の医療道具の中に抗生剤を見つける大尉
 @抗生剤を持って急いでその場を去る大尉
 @吃音症の男は、少しだが大尉に白状させられてしまった、殺してくれと言う
 


 @自室に戻った大尉は、ゲリラの忘れていった抗生剤と医者の持っていた抗生剤を見比べ、完全に同じものだと確信



 @食糧庫では、吃音症の男を安楽死させてやる医者



 @大尉が医者のもとへ戻ろうとした時、建物の奥から大きな物音がする
 @物音の主はオフェリアで、カルメンのベッド下にマンドラゴラを隠していたことが、駆けつけた大尉にばれてしまう



 @食糧庫ではすでに吃音症の男が死んでいる



 @マンドラゴラを手にオフェリアに詰め寄る大尉
 @大尉がミルク入りのボウルからマンドラゴラを抜き取ると、やめてと騒ぎ出すオフェリア
 @二人の仲裁に入るカルメン

カルメン「オフェリア…どうしてこんなものがベッドの下にあるの…?」
オフェリア「これは魔法の根よ…パンにもらったの」
大尉「下らん本にあるたわごとばかりだ! お前(カルメン)のせいだぞ!」

 @私が言って聞かせますから二人にして欲しいとカルメン。めっちゃ具合悪そう
 @好きにしろと立ち去る大尉

オフェリア「パンが言った通り、治ったでしょ?」
カルメン「オフェリア、お父様の言うことをきいて。子供じゃないのよ?」
オフェリア「いや! ここにいたくない! 遠くへ連れて行って、お願いだから!」
カルメン「そういうわけにはいかないのよ。もう大きいんだから、人生はおとぎ話じゃないってことが分かるはずよ。世の中は残酷だってこと。たとえ傷ついても学ばないと」

 @マンドラゴラを暖炉の火に捨ててしまうカルメン

オフェリア「やめて!」
カルメン「オフェリア! 魔法なんて存在しないの! あなたにもママにも誰にも存在しないのよ!」

 @暖炉ではマンドラゴラが焼けて悲鳴を上げている
 @それと同時に、突然カルメンが腹を抑えて崩れ落ちる



 @食糧庫で吃音症の男の死を確認する大尉

大尉「なぜ死なせた」
医者「唯一してやれることだ」
大尉「私に従うべきだろう? 従うほうが身のためのはずなのに。理解できん。なぜそうしなかった?」
医者「なぜなら…何も疑問を抱かずにただ従うなんてことは、あんたのような人間にしかできないからだ」

 @立ち去る医者を撃ち殺す大尉
 @すぐに大尉はカルメンの容態が急変したと報告を受け、軍医を呼び寄せるよう部下に指示する


◇すべてを失って
 @カルメン寝室前の廊下で待機する大尉とオフェリア
 @出血多量の出産に苦しみむカルメン
 @しばらくして産声が聞こえるが、軍医はカルメンが死んだことを大尉に報告
 @その報せに愕然とするオフェリア
 

◇心の暗闇
 @カルメンの葬儀
 @赤ん坊は大尉が大切に抱いている
 @葬儀で読み上げられたありがたいお言葉の内容抜粋…
 ・たとえ神がしるしを示したとしても、それを読み解くのは人間の務め
 ・この大地は死んでしまった体をチリへと戻すだけ
 ・この世に生きるということは苦しみに満ちている
 ・人は生まれたその時から原罪を負う
 ・しかし神は、計り知れない叡智をもって人を導く
 ・たとえ姿は見えなくても、我々の心の奥に神はいる
 @オフェリア、母の飲んでいた睡眠薬を持って母の部屋を去る


◇Bストーリーのすべてを失って~心の暗闇
 @吃音症の男が白状したこともあり、大尉にスパイ疑惑をかけられ遠回しながら尋問にあうメルセデス
 @うまいこと切り抜けようとするメルセデス
 @しかし「食糧庫のカギはひとつしかない」と断言していたことがあだになり、大尉による言葉のトラップにかかり、合鍵を持っていることが地味にばれてしまう
 @スパイだと確信されたことを悟ったメルセデス、急いで隠しておいた荷物をまとめる


◇第2TP(AとBの融合地点)
 @眠っているオフェリアを起こし「私は今夜ここを出るわ」とメルセデス
 @「一緒に連れて行って」と懇願するオフェリア
 @「ダメよ、必ず迎えに来るわ」と言うものの、必死に抱き着いてくるオフェリアを突き放せず、連れていくことにするメルセデス




*****


【パンもオフェリアの妄想なのでは?】
再びパンがオフェリアの寝室に現れた時、またもオフェリアは眠っていました。
そして寝室にパンが登場する時は必ず、建物がきしむ家鳴りの音がしていました。
この辺りから、パンは実在する守護神ではなくオフェリアの夢(妄想)なのでは、と見ることができてきます。



【大尉の人間像】
・マンドラゴラを見つけた時の大尉…
「下らん本にあるたわごとばかりだ!」
このセリフで、大尉もおとぎ話と縁がある人間だったことがわかります。
下らん本を読んだことがある人間だということです。

・医者が吃音症の男を殺した時の大尉…
「私に従うほうが身のためのはずなのに。理解できん。なぜそうしなかった?」
このセリフは、彼自身がこれまでそうしてきたことを示す言葉ではないでしょうか。
そして医者から「何も疑問を抱かずにただ従うなんてことは、あんたのような人間にしかできない」と言い捨てられます。
大尉だってたまには葛藤してるのにね。
こんなこと言われちゃってカワイソ。

・葬儀で息子を抱く大尉…
主役がオフェリアなので、大尉は妻の命などどうでもよかった最低男として描写されていますが、ここは愛する妻の残した一粒種を必死に守っていく覚悟の男として見てみよう、という解釈で私は推し進めております。
だってね、ほんとの最低男ならばそもそも葬儀になんか出ないんですよ。






(潮)映画「パンズラビリンス」のビート-4

パンズラビリンス
03 /07 2019
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****


◇お楽しみ続き
 @カルメンには絶対安静が必要だ、精神的な動揺も与えないようにと医者
 @医者に「妻を治せ。金がどんなにかかろうと構わない、治すんだ」と強く指示する大尉
 

◇Bストーリー続き
 @重体の母とは別室にされるオフェリア
 @母の状態にショックを受けているオフェリアをメルセデスが慰める
 @「ゲリラを助けてるんでしょ? 誰にも話してない、あなたのことが心配なの」とオフェリア
 @気づかれていたことに驚いたメルセデスだが、彼女もまたオフェリアを心配し抱きしめる
 @オフェリアの頼みで子守唄を歌うメルセデス(ここで、冒頭で流れていた曲はこれだと判明)



 @夜中、人目を忍んでキッチンらしき場所にやってくるメルセデス
 @床下に隠していた配給品などをバッグに詰める
 @そこへ医者がやってきて、二人はゲリラのアジトへと向かう
 @メルセデスの弟がゲリラのリーダー(かな?)と判明


◇お楽しみ続き
 @その頃、眠っているオフェリアの寝室にパンが現れる
 @その際ギーギーした音がする

パン「約束を果たしていないようだな」
オフェリア「だってママが病気なんだもん…」
パン「ハッ! そんなことが言い訳になるとでも思うのか!」

 @なかなかに高圧的な態度に変わってきているパン
 @パンはオフェリアに「いつか人間になることを夢見た植物」であるマンドラゴラの根を渡す
 @そして、マンドラゴラをカルメンのベッドの下に置くよう指示(ミルクの入った器に入れて、毎朝かかさず血を2滴与えて、とかなんとか)
 @満月の夜まで時間がないから早く試練を果たせ、とせかすパン
 @道案内のためにと、妖精をオフェリアに渡すパン
 @砂時計も渡す



 @次の試練とは…
 ・超危険
 ・そこには眠っている者がいる
 ・だがそれは人間ではない
 ・そこでは豪華絢爛な宴をしているが、オフェリアは何ひとつ食べてはいけない
 ・命がかかっているので絶対に食べてはいけない


◇Bストーリー続き
 @ゲリラのアジトについたメルセデスと医者
 @メルセデスはゲリラたちに配給品を配る
 @奥には片足を負傷した男がいて、医者が診る



 @その間、ゲリラの中に吃音症の男がいることが提示される



 @足の傷はひどく、これは切断するしかないと医者
 @仲間たちに見守られながら、足を切ることになる負傷者
 @その葛藤、決意

※足切断というこのシーンもじっくり描かれているので、なにかのメタファーなのでしょうか? しかし私には調べきれませんでした。分かる人にとっては意味深いシーンなのかもしれません
※もしメタファーでないなら、今後出てくるシーンへのお膳立てだと思います


◇お楽しみ続き
 @自室にて、本の指示通りに試練に挑むオフェリア
 @その指示とは…
 ・部屋の中のどこでもいいから、パンからもらったチョークでドアを描いてその中に入ること
 ・妖精の導きに従うこと
 ・中では何も口にしてはいけない
 ・砂時計が落ちきる前に帰ってくること



 @壁に描いたドアを開けると、中には回廊のような広い空間が広がっている
 @砂時計をセットして中に入るオフェリア



 @その先には食堂があり、豪華な料理がたくさん置かれたテーブルがある
 @テーブルには誕生日席にたった一人で座る化け物
 @暖炉を背にして座る化け物は、置物のように身動き一つしない
 @化け物には目がなくて、化け物の前には皿に置かれた二つの目玉がある
 @壁には化け物が子供たちを殺している絵が飾られている
 @部屋の隅にはたくさんの靴が山積みになっていて、ここではそれだけたくさんの犠牲が出たのかもしれないことを物語っている
 


 @すぐそばの壁には、小さな扉が3つある
 @道案内のために連れてきた妖精たちは、真ん中の扉に黄金のカギをさせと指示する
 @しかしオフェリアは妖精の言うことをきかず、別の扉を開けてしまう
 @扉の中を探ると短剣が手に入る



 @あとは短剣を持ってこの場を去るだけだが、オフェリアはごちそうの誘惑に負けて、テーブルにあったぶどうを口にしてしまう
 @妖精たちが散々食べちゃダメって邪魔しているのにもかかわらず、食べるオフェリア
 @すると案の定、化け物が動き出して目玉をセットオン、オフェリアに迫る
 @妖精のうち数匹は化け物に食べられてしまう
 @化け物に追っかけられ、逃げるオフェリア
 @しかし砂時計が最後まで落ちきってしまい、目の前で出口が消える
 @ドアが閉まると同時に、オフェリアの寝室の壁に描かれたチョークの跡が消えていく


◇MP
 @色々わちゃわちゃしたが、なんとか逃げ切り寝室まで戻ってきたオフェリア

(※まったく自信ないのだけれど、ちょうど映画の真ん中なのでMPはここにしてみました。でも他に該当するシーン見あたらないし、あってるかもしれない。化け物から逃げ切って短剣を持ち帰ったのも、MP特有の「見せかけの勝利」だと思うので)


◇迫りくる悪いやつら
 @翌朝、ゲリラたちの会話

リーダー「もうじき援軍がやってくる、そしたら一気に大尉を叩き潰す」
医者「大尉を殺したってすぐに次のやつが来る、きりがない。無謀だ。メルセデスのことも考えろ、これは負け戦だぞ」



 @弟であるゲリラのリーダーに食糧庫のカギを渡すメルセデス

メルセデス「私は卑怯者。卑怯で臆病だわ。あいつと同じ屋根の下に住んで、身の回りの世話をしている。…医者の言う通りだったらどうするの?」
リーダー「やつらを痛い目に合わせてやるだけさ」



 @大尉は今日もまた自室でひげを剃っている
 @しかし傍らに置いた懐中時計の刻む音が、だんだん耳障りになってくる大尉
 @鏡の中に映る自分をにらみつけ、鏡面にひげ剃りナイフをあてる。ちょうど首のあたりに
 @そして怒りの表情を浮かべ、自分の首をかき切るようにナイフを思い切り横に引く



 @静かに眠っているカルメン
 @そのベッドの下に、パンから言われた通りにマンドラゴラをセットするオフェリア
 @そこへ医者と大尉がやってきて、カルメンの熱が下がっていることが判明
 @熱の下がった理由は医者にも分からない

大尉「いいか、もしもの時は息子を救え。父から譲り受けた名を継ぐ息子だ、必ず救え」

 @大尉のその言葉にショックを受けるオフェリア
 @そこに遠くから爆発音が聞こえてくる。ゲリラのしわざらしい
 @医者も大尉もいなくなったカルメンの寝室で、オフェリアはお腹の赤ちゃんに話しかける

オフェリア「外の世界は今、平和じゃないの。ママは具合が悪いわ。だから生まれてくる時にお願いがあるの、ひとつだけ。ママを苦しめないで。もし言うとおりにしてくれたら、私の王国に連れてって王子様にしてあげる。約束するわ」



 @大尉たちが爆発音のした場所に到着
 @そこでは機関車が脱線している
 @機関車からなにも奪わずに逃走したゲリラたち
 @なぜなにも盗らずに…?
 @すると今度は製粉所のほうから爆発音 



 @とんで帰った大尉が見たのは荒らされた自陣、てんやわんやの部下たち
 @襲撃された食糧庫は空っぽだったが、残された錠前が傷一つないことを大尉は確認



 @逃げ遅れたゲリラを追いかけてく大尉たち
 @森での銃撃戦になる

大尉「恐れるな! これこそ勇敢な軍人の死に方だ!」

 @そう部下を鼓舞しながら、またまた懐中時計を確認する大尉
 @だが大尉がここで死ぬことはなかった
 @大尉らがゲリラを追い詰め、ゲリラのほとんどが死んだ
 @まともに話せるくらいの死にぞこないを探す大尉
 @軽傷の男を一人捕まえることに成功

部下「大尉殿、(このゲリラは)まだ生きています。足を負傷しています」

※ゲリラの中にいた足を切断した男。足切断という要素がなんらかのメタファーでないのなら、おそらくはここへの伏線だったのかなと思います。足を切断したあの男が捕まったのだと思わせといて…



 @捕まったゲリラがいると聞き、弟なのではと心配して駆けつけるメルセデス
 @だが食糧庫に連れていかれるゲリラは弟ではなく(足を切断した男でもなく)、吃音症の男だった






*****


【ここまでで覚えておきたいこと】
・パンが寝室に現れた時、オフェリアは眠っていたこと
・パンが現れる時、ギーギーした音がしていたこと
・チョークで描いたドアが閉まった時、寝室壁に描いたチョークの線も消えてしまったこと



【大尉の人間像・カルメンへの気持ち】
「金がどんなにかかってもいいから、カルメンを治せ」と言った時の大尉の表情は、感情が揺れ動いていないように見えます。しかし私の今までの解釈を採用すると、無表情の下ではめちゃくちゃ動揺していることになります。
「もしもの時は子供を救え」のセリフも大尉が言うとひどく聞こえます。
しかし親ならば、誰だってそう言うことでしょう。カルメンだってそう言ったでしょう。
これらのセリフを血も涙もない男の利己的な発言として見るか、妻を愛する男の純粋な発言と見るか。
だいぶ違いますが、今回私は後者をおしていきます。


【試練にデジャブ感がある=試練はオフェリアの妄想なのでは?】
これも色んな方が指摘している箇所なので、ここでは詳しく書きません。
ざっくり言うと、これまでオフェリアが触れてきた現実と、試練の詳細がちょこちょこかぶっているということです。
例えば、マンドラゴラを入れた牛乳ボウルは、メルセデスが乳しぼりしていた時に見た牛乳ボウルとそっくりだったり。
液体を2滴与えろ、食堂で豪華な食事、食べてはいけない、誕生日席、暖炉、などなど。
現実で起きたことが試練に出てくるということは、もしかしてそれって、この試練全部がオフェリアの妄想なんじゃないか…?
っていう可能性がこのあたりから見えてきます。


【大尉の人間像・自身への気持ち】
大尉は父の形見にイラついて、自分の首をかき切ろうとしています。
父に振り回されて支配されて生きている自分、本心を捻じ曲げて生きている自分に、相当の怒りがあるようです。
この怒りは、まだ大尉自身の中に「純真さ」が残っている証拠だと私は解釈します。
捨てようとしても捨てきれない、軍人になりきれない自分への怒り。
かといって、本当の自分で生きることもできない怒り。


【大人と同じ言い回しになるオフェリア】
お腹の赤ちゃんに対して「言うとおりにして」と言ったオフェリア。
このセリフ、スペイン語だとどういう言い回しになっていたか気になります。
もし大人と同じ言い回しをスペイン語でもしているなら、これはずいぶん皮肉で、かつ重要なセリフ。
いずれにしてもMPが過ぎているので、オフェリアの気持ちがぐらついてきている描写だと思います。




(潮)映画「パンズラビリンス」のビート-3

パンズラビリンス
03 /07 2019
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****


◆第2幕

◇Bストーリー開始
(※オフェリアと大尉のストーリーがA、メルセデス関連のストーリーがBではないかと思います)
 @カルメンからもらったドレスに着替えたオフェリア
 @メルセデスは牛から乳を搾っている
 @以下の会話中、メルセデスが牛乳をボウルにすくいとるのが意味深にアップになる

オフェリア「妖精って信じる?」
メルセデス「いいえ。でも子供のころは色んなことを信じていたのよ」
オフェリア「私、ゆうべ妖精にあったの。守護神のパンにも会ったのよ」
メルセデス「パンに?」
オフェリア「背が高くて、すごく年を取ってて、大地のにおいがしたわ」
メルセデス「私のお母さんは『パンには気をつけろ』って言ってたのよ」


◇お楽しみ開始
 @大尉の作戦通り、集められた食料が駐屯地の食糧庫に運び込まれていく
 @メルセデスからひとつしかないという食糧庫のカギを預かる大尉
 @と、駐屯地から見える山の中腹で煙が上がっているのが見える
 @そこにゲリラがいるはずだと急いで向かう大尉たち



 @大尉たちがゲリラのもとへ向かって森の中を行く映像にかぶりながら、オフェリアが魔法の本を読み上げる声が流れる
 @その内容とは…
 ・まだ森が若かった頃、とても不思議な生き物たちが森にはたくさん住んでいた
 ・生き物たちは互いに助け合い、大きなイチジクの木の陰で眠っていた
 ・その木は製粉所のそばにある
 ・今その木は枝が枯れ、老いた幹はねじ曲がり、死にかかっている
 ・巨大なカエルが根元に住んで、木の成長を妨げているため
 ・カエルの口に魔法の石(パンからもらった)を投げこみ、腹の中から黄金のカギを取り出せば、その木は再び花を咲かせる



 @イチジクの木に着いたオフェリア
 @新品の靴は泥でぐちゃぐちゃ
 @ドレスだけは脱ぎ、木の幹に空いた穴の中へ泥まみれになりながら入っていくオフェリア



 @一方、煙の出ていた場所へ着いた大尉たち
 @そこにはもう誰もいなかったが、抗生剤が忘れられているのを見つける大尉
 @抗生剤が入っていたのは、医者がメルセデスに渡した紙包み
 @ゲリラたちは宝くじも忘れていった
 @まだその辺に隠れているだろうゲリラたちに叫ぶ大尉

大尉「(抗生剤と宝くじを)取りにきたらどうだ! 幸運がつかめるかもしれんぞ!」

※宝くじが何を示唆しているのか私は確信できませんでしたが、もしかするとこのセリフを言わせたかったからかもしれません。大尉のもとへ出ていって和解することは、双方にとって本当はハッピーにつながることなのかもしれません。

 @しかしゲリラが出てくるわけもなく、その場を去る大尉
 @帰っていく大尉たちを敵意で見つめるゲリラたち



 @その頃、木の穴の中で不気味な巨大カエルに出会うオフェリア

オフェリア「こんにちは、私はモアナ王女。怖くなんかないわ。恥ずかしくないの? 泥の中で虫なんか食べて。木が死にそうなのに太ってるなんて」

 @そんな言葉など聞かず、オフェリアの顔についた虫をベローンと舐めて食べるカエル
 @気味悪がるオフェリア、カエルの怒鳴り声にも怯える
 @しかし機転を利かせたオフェリアは、左手に虫と魔法の石を握りしめ、カエルに差し出す
 @その左手を舌でつかんだカエルは、虫と魔法の石を奪い取りそのまま食べる
 @魔法の石を食べたカエルは黄金のカギを吐き出し、オフェリアはその入手に成功



 @疲れ果てて木の穴から出てきたオフェリア
 @汚れないようにとせっかく脱いだドレスだったが、風に吹かれて泥の中に入ってしまっていた
 @すぐに雨が降ってきてずぶぬれになるオフェリア



 @同じ頃、製粉所ではそろそろ晩餐会が始まる様子
 @雨の中、晩餐会の客を出迎える大尉。またも懐中時計で時刻を確かめている
 @食堂では、オフェリアが帰ってこないことを心配しているカルメンとメルセデス
 @晩餐会が始まり、ゲリラに食料が渡らないようにするための配給手帳が客に配られる
 @抗生剤を見つけたことでゲリラの中に負傷者がいると気づいている大尉
 @この地での任務はつらいでしょうと言われた大尉は…

大尉「とんでもない。私は清められたスペインのこの地で息子を誕生させたい。人はみな平等だとやつらは信じていますが、それは間違った思想だ。人は平等ではない。我々が勝って内戦は終わった。もしやつらを皆殺しにしなければならないのなら、私は喜んで殺します。望んできたこの地に乾杯」

 @大尉は誕生日席に座り、背後には暖炉が燃えている


◇Bストーリー続き
 @闇の中、森に向かってランプをかざし、こっそり合図を送っているメルセデス
 @そこへ泥だらけのドレスを着たオフェリアが帰ってくる


◇お楽しみ続き
 @晩餐会、客の女性が大尉とカルメンの出会いを尋ねる
 @カルメンは大尉の手を握りながら、嬉しそうに答える
 @初めの出会いからしばらくたったのち、元の夫が死に、その後に大尉と再会したのだとカルメン
 @大尉はカルメンを拒否するように、握られていた手を退ける
 @女性客は、時がたってから「偶然」に再会するなんておもしろいわね、と言う
 @すると大尉、「失敬、妻はなれていないので、下らない話をお聞かせしました」と言う
 @しょんぼりするカルメンのもとに、オフェリアが帰ってきたことをメルセデスが告げる
 @晩餐会から出ていくカルメン



 @男性客の一人が「以前、大尉の父上にお会いしました」と言い出す

客「非常に印象的な方でした」
大尉「生粋の軍人だ」
客「お父上は戦死なさるその時、持っていた時計を壊して、ご子息に死の時刻を残されたとか。勇敢な死のお手本になるように」
大尉「父は時計など持ったことはない」



 @バスルームでは、オフェリアが汚したドレスに悲しみ小言をいうカルメン
 @お仕置きに今夜は食事抜きにされるオフェリア

カルメン「どうしてママの言うとおりにしてくれないの。あなたにはがっかりしたわ。お父様もそうよ、怒っていらしたわ」

 @それを聞いて笑顔を浮かべるオフェリア
 @カルメンがいなくなるとナナフシがやってきて、黄金のカギを手に入れたというオフェリアを再びパンのもとへと連れていく



 @パンの潜むあの深い穴の底には、石像が立っている
 @赤ちゃんを抱いた女の子と、その後ろに大きな角のある生き物が彫られた石像
 @石像に彫られた角のある生き物はパン自身で、女の子はオフェリアなのだと、肉をくちゃくちゃ食べながらパンが説明する
 @「赤ちゃんは?」というオフェリアの問いには答えないパン
 @黄金のカギはいずれ使う時が来るので大事にしろ、このチョークを持っていけとパン

オフェリア「あなたの言葉は信じられるの?」
パン「あなたに嘘などつくわけがない」

 @そうは言ってるがめちゃめちゃ不気味で怪しいパン
 @オフェリアも疑いながらその場を去る



 @翌日、駐屯地の食糧庫前に大勢の人が並び、配給を受けている
 @軍人が配給のパンを手に口上を述べている

軍人「我々スペインには火やパンのない家など、一つたりとも存在しない」



 @一人でまた魔法の本を開き、これからどうなるのかを問いかけるオフェリア
 @すると白紙のページに、子宮の形が真っ赤に浮かび上がる
 @隣の部屋ではカルメンがうめきはじめ、ページは見る見る真っ赤に染まっていく
 @見れば、苦しむカルメンは下半身から血を流していた



 @食糧庫の前では配給を待つ列のそばで、またも懐中時計で時刻を確認している大尉
 @そこへオフェリアが駆けてきて、大尉に助けを求める
 @二人のやりとりにかぶって、パンを手にした軍人が口上を続けている

軍人「このパンを受け取って帰るのだ、スペインが飢えに苦しむことはない。いいか、スペインには火やパンのない家など、一つたりとも存在することはない。これはフランコ政権がもたらすパンだぞ!」



*****



【ここまでで覚えておきたいこと】
・メルセデスがボウルに搾りたての牛乳をすくいとったこと
・晩餐会で大尉が誕生日席に座り、その後ろに暖炉があったこと


【カエルシーンの解釈】
※このシーンは、色んな方がそれぞれの解釈・考察をなさっているところです。
私は今回、冒頭ナレが大尉の声であり、右手の指輪もプロテスタントの証であるならば…という観点から解釈をしています。他の方の解釈を否定するものではありません。


・イチジクの木の話は大尉(純真を捨てた大人)の状況を説明しており、この物語の構図そのものである

@まだ森が若かった頃、とても不思議な生き物たちが森にはたくさん住んでいた
 まだ彼が若かった頃、彼にも妖精を信じる心(純真さ)があった

@生き物たちは互いに助け合い、大きなイチジクの木の陰で眠っていた
 しかし、妖精を信じるような純真さは彼の中に隠されていた(イチジクは花の咲かない木として有名であり、キリスト教ではアダムとイブが股間を隠した葉っぱであり、禁断の果実・知恵・欲望の象徴でもある)

@その木は製粉所のそばにある
 彼(大尉)は製粉所にいる
 
@今その木は枝が枯れ、老いた幹はねじ曲がり、死にかかっている
 大尉の心は枯れ、ねじ曲がり、死にかかっている

@巨大なカエルが根元に住んで、木の成長を妨げているため
 権威には従うべきという価値観が心に住みついて、本人をむしばんでいるから

@カエルの口に魔法の石を投げこみ、腹の中から黄金のカギを取り出せば、その木は再び花を咲かせる
 その価値観に3つの魔法(これからオフェリアが受ける3つの試練をクリアするための純真さ)を見せつければ、彼も純真さを取り戻すことができるだろう 


なぜ上記の解釈になったかというと、ひとつは、オフェリアがカエルに対して丁寧にあいさつをしたあと、左手を差し出したからです。カエルに左手をつかまれたあの不気味で怖い感じは、大尉に左手を差し出したシーンを思い起こさせました。
カエル、それは「言うことを聞きなさい」という大人の高圧的な価値観、不自由を強要する象徴なのでは、と思いました。

もうひとつは、このあと分かっていきますが、大尉が純真さを捨てようと苦しんでいる人間だからです



【軍人の口上がうるさいのは】
・パン=独裁者がもたらした者
これはスペイン映画なので、守護神パンは「ファウノ」と呼ばれています。ファウノをパンと呼ぶのは英語です。
そしてスペイン語でパン(食べるほう)はそのまま「パン」です。
これはかなりの推測ですが、
パン(食べるほう)=パン(守護神)=ファウノ
としての言葉遊び的な暗示があったのではないでしょうか。
つまり軍人が言っているのは、
「守護神パンは、独裁者(大尉側)がもたらした者であるぞ」
という意味なのではないかと。

ファウノが英語でパンと訳されることくらいは分かっていると思うので、あの軍人の口上のしつこさからするとただのモブセリフではなく、何かしら意味のあるセリフなのではと深読みしてみました。
しかしながら、多分食べるほうのパンは英語ではブレッドになると思うので、どちらもが「パン」となってこんな深読みができるのは日本語バージョンだからこそでしょう。


【大尉の人間像・父との関係について】
ここで大尉が懐中時計にこだわる意味が解りました。
時計は父の形見でした。
しかし大尉はそれを否定します。
私はその心境を、父に従っていることなど認めたくないからだと解釈しました。

この辺からだんだん分かってくるのは、軍人であった父から、子供のころの大尉がそれ相応のしつけをされてきただろうことです。
大人から「このようにしなさい」「私と同じように勇敢に死ね(純真さを失え)」と押し付けられ、従って生きてきた人、それが大尉です。
大人の言うことをきかないオフェリアとは、真逆の性格をしているということになります。
しかし大尉の心の中は複雑です。
大人の言うことに従ってはいるものの、心の奥底ではやはりオフェリアと同じものを持っているからです。
純真さをねじまげて、抑え込んで、そんなものは軍人たる自分には要らないのだと言い聞かせて生きてきた人なのです。

カルメンとの馴れ初めが語られたシーンにも、それが表れているように思います。
カルメンと「偶然に再会した」ように装ったのは、純粋にカルメンに恋をした大尉だったのではないかと。
嬉しそうに語るカルメンを、大尉は感情を抑えた軍人の顔で見つめています。
カルメンを出迎えた時の笑顔とは対照的です。
そして握られていた手をパッと払う。
あの場でカルメンが馴れ初めを語ることは、自身の純真さがばれてしまうようで、めちゃくちゃ恥ずかしく、腹立たしいことだったのではないでしょうか。
その話はやめてくれ……カルメン!
そう思うと、ちょっとかわいい大尉です。


【お腹の子は男と確信している理由】
大尉がこのような人間であるならば、お腹の子は「男」だと確信している理由も推測できてきます。
冒頭ナレが大尉の声なら、大尉は「王国に帰れるのは姫(女)」だということを知っている(少なくとも大尉本人はそう決めつけている)ことになるからです。
男である自分はいくら望んでも王国(純真)には帰れない、と思っているわけです。
父から「勇敢な死」を望まれた男児。
純真を捨て、子供心を押しつぶすような独裁的な価値観に身を染めて、死んでいくこと。それが勇敢な死だと。
大尉は自分の父がそうしたように、自分の子供にも同じことを教えようとしています。
自身の本心に反して、悪しき習慣を引き継いでいくつもりなのです。
ですから自分の子供は男だと確信しているのです。
こんな俺のもとに、女の子など生まれるわけがない、と。
なぜならこの価値観を悪しきものと知りながら引き継いでいくクズ人間なのだから、と。






(潮)映画「パンズラビリンス」のビート-2

パンズラビリンス
03 /07 2019
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****


◇セットアップ続き
 @大尉がゲリラ制圧の作戦を立てている
 @ゲリラは森に隠れているので、食料が渡らないようにしおびき出そうという作戦
 @その作戦を盗み見しようとするメルセデス



 @オフェリアの母カルメンのベッドルームでは、医者がカルメンに睡眠薬みたいなものを処方する
 @寝る前に2滴飲むだけでいい薬



 @廊下でメルセデスと医者が密談
 @「足のケガがひどいから看てあげてください」とメルセデス
 @「こんなことしか協力できない」と紙包みを渡す医者
 @メルセデスが振り向くと、その様子を見ていたかもしれないオフェリアと目が合う



 @母とオフェリアは同じベッドに入り、親子水入らずな会話をする
 @建物がきしむ音がする
 @ここでは大人と子供の違いが提示される
 @子供…暗闇やお化けが怖い
 @大人…あれはお化けではなく草木の音、家鳴りの音
 @子供…プレゼントくれるの?(大好きな)本かな?
 @大人…いいえ、もっといいものよ(新しい服)
 @子供…ママはなぜ再婚したの?
 @大人…一人でいるのはつらいから
 @子供…私がいる。ママは一人じゃない
 @大人…あなたも大人になればママの気持ちが分かるわ



 @お腹の子供が動き出して苦しみだすカルメン
 @オフェリアに「弟におとぎ話を聞かせてあげて」とお願いするカルメン
 @おとぎ話を始めるオフェリア



 @そのおとぎ話の内容は…
 ・昔、遠く離れたある不幸な国に、黒くて荒い岩でできたとても大きな山があった
 ・日が沈むとその山の頂では、摘んだ人に永遠の命を与えるという魔法のバラが咲く
 ・でも誰も近づこうとはしなかった
 ・なぜならそのバラのトゲには猛毒があったから
 ・人々はみな死の恐怖や痛みを語ったが、永遠の命を話題にしようとする者はいなかった
 ・そして魔法のバラは永遠の命の恵みを誰にも与えることなく、忘れ去られたまま
 ・冷たく暗い頂でこの世の終わりの時までひっそりと咲いては散っていった

 @おとぎ話の途中で映像は大尉の部屋に切り替わり、大尉が手入れをしている懐中時計が映される
 @画面には大尉が映されながら、オフェリアのおとぎ話は終わっていく



 @自室で、とても丁寧に懐中時計の手入れをする大尉
 @そこへ医者が登場し、カルメンが弱っていることを告げる

大尉「よく休ませよう、私はここで寝る。息子は順調か」
医者「ご心配なさることはありません」
大尉「ならいい」
医者「奥様は臨月です、旅をするべきではなかった」
大尉「お前の意見か?」
医者「医者としての私の意見です」
大尉「息子は父親のもとで生まれるべきだ。下がれ」
医者「ひとつお聞きしますが、なぜ男の子だとお分かりに…?」
大尉「ふん…そうに決まっている」



 @発砲音がしてゲリラを見つけたと部下に呼ばれ、出向く大尉
 @ここで大尉の人情味のない独裁軍人ぶりが明示される
 @行ってみるとみすぼらしいじいさんと若者が二人だけ
 @じいさんも若者もウサギ狩りをしていただけだと訴える
 @「私が判断する」と大尉が言ったにもかかわらず、若者のほうが「父の言うことに間違いはありません」と言う
 @その途端、若者を殴り殺してしまう大尉
 @そして「よくも息子を! あんたは悪魔だ」と吐くじいさんもついでに射殺
 @二人を殺した後、じいさんの荷物から死んだウサギが出てくる
 @「持ち物をよく調べておけ、私を呼ぶ前にな」と部下にすごんで、その場を去る大尉
 @(恐ろしい人……)ってシンとする部下たち


◇きっかけ

 @母と寝ているオフェリアのベッドに、昼間のナナフシがやってくる
 @妖精らしく姿を変身させたナナフシに誘われ、オフェリアはあの石門へ向かう
 @石門の先には大きな井戸のような深い縦穴があった
 @その穴の底でパンに出会うオフェリア
 @この時のパンの自己紹介は…

パン 「私は山であり、森であり、大地でもある。つまり私は守護神のパン。あなたにお仕えする忠実なしもべであります」

 @パンはオフェリアこそが、大地の下に広がる魔法の国の王女モアナだと言う
 
オフェリア「私の父は仕立て屋で…」
パン「あなたは人間ではない」

 @その証拠に左肩に王女のしるしがあるとパン
 @この穴は魔法の国へ帰る入口だが…

パン「まずはあなたが以前のままか確かめなくては。時を経てただの人間になってしまってはいないかどうか」

 @パンによると満月の夜までに3つの試練に耐えれば、オフェリアは王女と認められる
 @道しるべとなる本と小さな巾着をオフェリアにたくし、消えるパン
 @本には何も書いていない


◇セットアップ続き
 @大尉が自室でひげをそっている。毎日の習慣ぽい
 @ブーツを丁寧に磨き上げる大尉
 @メルセデスにあのじいさんが捕まえたウサギを示し、料理するよう言いつける大尉
 @メルセデスの出したコーヒーを「煮詰まりすぎている、飲んでみろ、火にかけているときは目を離さないようにするんだ」と言う大尉
 @いちいちコーヒーがどうのとか文句つけてくる大尉は、陰では使用人たちに不評


◇悩みの時
 @今夜は晩餐会だからと、カルメンはオフェリアに新しいドレスと靴をプレゼントする
 @「とても素敵」と言うオフェリアだが笑顔はない
 @ドレスを着る前に風呂へ入るよう言われるオフェリア
 @だがオフェリアは風呂場でパンからもらった本を開く
 @白紙だった本にオフェリアのやるべき試練が浮かび上がってくる


◇第1TP
 @まだ乗り気ではなさそうなオフェリアが、鏡に映った自分の左肩を見る
 @風呂場の外からはカルメンが「早くこのドレスを着てみて。お姫様のようになるのよ」
 @オフェリアの左肩にはパンの言った通り、王女のしるしとなるアザがある
 @アザを見つめて笑顔になるオフェリア、「お姫様よ」とつぶやく



*****



【ここまでで覚えておきたいこと】
・カルメンの飲んだ薬が2滴だったこと
・駐屯地の建物(製粉所)は家鳴りがひどいこと
・オフェリアの語ったおとぎ話のバラは、摘んだ者に永遠の命を与えるということ
・そしてひっそりではあるが、この世の終わりまでそのバラは咲いているということ
・大尉がヒビの入った懐中時計に並々ならぬ思い入れがありそうなこと
・なぜお腹の子が男の子とわかったのかと問われた大尉の答えが、「そうに決まっている」だったこと
・パンがオフェリアに対し「私はあなたの忠実なしもべです」と言ったこと



【大尉の人間像解釈】
ここまでの大尉は、誰もが恐れる無慈悲な軍人として描かれています。
しかしそれは、周囲のキャラがとにかく大尉に怯えているから観客にもそう見えている、とも言えます。
ちょっと冷静に見てみると、大尉はそんなにいつもひどいことを言ってるわけではありません。
確かにゲリラを始末するために仕事をしている時の彼は無慈悲です。
怪しい者はバンバン殺します。
でもそれ以外ではそうでもありません。

カルメンとオフェリアが駐屯地に着いた時も、彼はややぎこちないながらも笑顔で出迎えました。
それを怖い顔に変えたのは左手で握手をしようとしたオフェリアです。
調べてみたところこれが確実な情報かはわかりませんでしたが、キリスト教では左手に悪魔が宿ってると考えられ、その手で握手をするのは大変失礼なことだそうです。対決の意味もあるとか。
そんなオフェリアに大尉は「右手を出せ」と言いました。
これは「馬鹿にしおって無礼なやつめ、殺すぞ」という脅しに見えたかもしれませんが(そう演出されてる)、もしかすると彼なりに「世間知らずな娘に丁寧に教えた」だけかもしれません。

ウサギ狩りの親子にも高圧的ではありましたが、「この場の主導権は私にある。私に従うならば殺しはしない」という態度でした。
親子が殺されたのは、一度注意をされたにもかかわらず、息子のほうが出すぎた主張をしたからです。
大尉の尋問におとなしく誘導されていれば無事ただの農民だと判明し、殺されずに釈放されたのではと思います。

そしてコーヒーがまずいとメルセデスに言った時も、よく見れば脅していたようには思えません。
メルセデスの肩を優しく撫で、コーヒーの淹れ方を指南したにすぎません。
メルセデスのほうが勝手に強張っていただけにも見えます。

しかし大尉はやることなすこと優しさとはとれない、そんな空気を全身からあふれさせているのは事実です。
この後も「大尉って実はそんな人じゃないのでは?」と思えるシーンが出てきます。



【バラのおとぎ話の意味】
オフェリアの語ったおとぎ話に出てくるバラは、「純真さ」の象徴だと思われます。
大人たちが危険視して語らなくなる純真さ。
この映画は「純真さを捨てること=死」として扱われています。
純真でいさえすれば魂や心は死なずにすむのに、大人たちはそれをしなくなっていく。
彼らの心の中で純真さは忘れ去られていくが、それでも彼らの肉体が死ぬ間際まではひっそりと咲いている。
それは死ぬ間際までチャンスがあるということでもあります。
たとえ肉体が死ぬ間際でもあのバラを摘み取ることができれば、その瞬間、その人には永遠の命が手に入る。
純真さとはそういうものだと言っています。



【アリスのオマージュかな】
映画を見ればわかりますが、色んなところで不思議の国のアリスを思い出すところがあります。
オフェリアの衣装だったり、大尉の懐中時計だったり。
いろいろあるみたいですが、他に考察されてる方もいますし私はアリスに詳しくないのでここでは書きません。




(潮)映画「パンズラビリンス」のビート-1

パンズラビリンス
03 /07 2019
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****




題: パンズラビリンス (原題: El laberinto del fauno )
ジャンル: 人生の岐路(今回あまりジャンルには自信ないけど消去法でこれ)
主人公: オフェリア
主人公が倒すべき敵: 従わせようとする者(パンや大尉などが象徴する権威)


◆第1幕


◇OPイメージ
 @舞台は1944年、スペイン。内戦は終結したが、山では武装した人々が新たな独裁主義政権と戦い続けていたという字幕
 @鼻血を出して瀕死のオフェリア
 ※本立て式回想という始まり方。なぜ主人公がこのような状態になったのかを、これから語る。映画の最初と最後が現在でその間はすべて回想となるもの。



 @男性の声でナレーションが入る。その内容とは…
 ・昔、大地の下に嘘も痛みもない国があった
 ・その王国の姫は人間になることを夢見て、澄んだ空やそよ風や太陽に憧れていた
 ・姫はある日、国を逃げ出したが、地上に出たとたん光に目がくらみ記憶を失った
 ・自分が一体誰なのか、どこから来たのかも忘れ、寒さや病、痛みに耐えながらやがて姫は死んだ
 ・しかし王様はいつの日か姫の魂が必ず別の肉体に宿り、戻ってくることを信じていた。いつかその時が来るまで、たとえ世界が終ろうとも王様は待ち続けていた


◇セットアップ開始
 @馬車に揺られる主人公オフェリアと母カルメン
 @母は身ごもっていて吐き気をもよおしている
 @オフェリアは絵本を読んでいる
 

◇テーマの提示
カルメン「おとぎ話ね? あなたはもうこんな夢物語を信じたりする歳じゃないでしょう?」


◇セットアップ続き
 @具合の悪い母のために車が止まり、その間、森をうろつくオフェリア
 @不思議な石の欠片を見つけるオフェリア
 @すぐ近くにあった石像の一部(片目)だと分かり、はめこむ
 @すると石像の口からナナフシが登場
 @オフェリアはそれを妖精だと認識する


◇テーマの提示2
カルメン「着いたら大尉にきちんとご挨拶して、お父様と呼ぶのよ。あなたの新しいお父様なんだから変な意地を張ったりしないでちゃんとしなきゃダメよ」


◇セットアップ続き
 @その場を走り去っていく一行の車
 @後を追って飛んでいくナナフシ



 @ヒビの入った懐中時計を見つめ、オフェリアたちの乗る車の到着が「15分遅れた」と言う大尉(オフェリアの新しい父)
 @彼らが駐屯している建物は山奥の製粉所
 @嫁カルメンを割と笑顔で出迎える大尉
 @カルメンの大きなお腹をなでる大尉の右手薬指には指輪がはめられている
 @カルメンのために車いすが用意されている
 @カルメンは大丈夫と断るが、「医者が言うから仕方ない、私のために乗ってくれ」と大尉。カルメン承諾
 @今度はオフェリアが本を両手に抱えて車から出てきて、大尉と初対面
 @割と笑顔でオフェリアを出迎える大尉だが、握手しようと左手を出してしまうオフェリア
 @それを見て奥歯を噛んだ大尉はオフェリアの手をわしづかみにし、「右手を出せ、わかったな」とすごむ。軍人らしくて怖く厳しそうだ
 @怯えるオフェリア



 @メルセデスという女使用人がいることを提示
 @不安でいっぱいなオフェリアの前に、先ほどのナナフシが登場
 @ナナフシを追いかけて、製粉所裏にある石門に入っていくオフェリア
 @石門にはヤギの角を生やした顔が刻まれている
 @その先は迷路のような高い壁と細い道が続く
 @奥を覗き込むオフェリア


◇テーマの提示3
メルセデス「奥は迷宮よ。入らないほうがいいわ、迷子になっちゃうから」


◇セットアップ続き
 @この石門とその先にある迷路のような建築物は、駐屯している製粉所ができるよりずっと昔からここにあった
 @メルセデスが大尉のことを「(オフェリアの)お父さん」と言うと、「私のパパじゃない、パパは仕立屋で戦争で死んじゃったの。あの人じゃない」と反論するオフェリア
 @製粉所へと戻っていく二人を見つめるナナフシ



*****



【ここまでで覚えておきたいこと】
・この物語の舞台には、独裁者とそれに従わない反乱軍の対立があること
・冒頭のナレーションが男性の声であること(調べても分からなかったのですが、もしかすると大尉の声かもしれないので)
・地下王国から逃げたのは姫だったこと
・姫は人間ではないこと
・姫が逃げ出す地下王国は暗いということ
・オフェリアはいまだにファンタジーを信じる少女であること
・大尉の右手薬指に指輪がはめられていること(これは今後も何回も提示される)
・テーマをまとめるとこの映画は「いまだに子供心を忘れないオフェリア(言いつけに従わない者)が、新しい父(言いつけ従わせようとしてくる者)との確執を通して迷宮をさまよう物語」だということ
・オフェリアVS大尉=従わない者VS従わせようとする者=反乱軍VS独裁政権=自由VS不自由=正直者VS嘘つき
・オフェリアが大尉と左手で握手をしようとしたこと
・山、森、大地という単語がこの後も結構出てくること



【大尉の立ち位置について】
気になるところが2点あります。
有力な確認が取れなかったので自信はありません。
そのため、こじつけかもしれません。

1点め。
大尉は右手に指輪をしています。結婚指輪かどうかは明示されませんが、この後も何度も画面に映るのでなんらかの意味があるのだと思います。
そこで少し調べてみたところ、こんな情報が。
スペインでは左手に結婚指輪をはめるのが普通だそうで、その理由はスペインのほとんどの人がカトリックだからだそうです。右手に結婚指輪をするのはプロテスタントだそうです。
もしこの文化が大尉の指輪で示唆されているのだとしたら、プロテスタント(改革運動で分離)VSカトリック(保守派)もメタファーに加わることになるし、一番大事なのは「大尉も実はプロテスタント」という事実になります。

2点め。
冒頭のナレーションも大尉の声に聞こえます。(吹替だと特に)
もし大尉がプロテスタントで、ナレーションも大尉の声だとしたら…?


今回は単なるビート仕分けだけじゃなく、この2点を前提とした解釈を付け加えていきたいと思います。
ビート仕分けもいつもより詳しめになるかも。
よかったら、この前提で映画を見てみてくださいね。
そうすると一味違った物語になります。
私はこの2点を考慮に入れて映画を見ても違和感を感じませんでした。






(潮)「君の名は。」で泣けない理由

君の名は。
11 /28 2017
「君の名は。」で泣けなかった人がいます。
ほとんどの人が感動していたのに、なぜ自分は感動できなかったのか。
自分に何か落ち度があるのかと思ってしまうくらい、どこが感動ポイントか分からなかった人もいます。
普段、映画ではけっこう泣くほうなのに、この映画ではなぜか泣けなかった。
そんな人が本気で不思議がっていました。
泣けなかったことが不思議すぎて、その理由を分析してる人もいます。

私も感動しなかった一人です。
あんなに皆が感動していたのに、感動できなかった自分、なんなの?
めっちゃ疎外感。
世間から置いてけぼり。
感動できなかった理由が本気で分からな過ぎて、戸惑うばかり。
嫌味でもなんでもなく、泣ける理由を教えてほしい。
そんな気持ち、痛いほどわかります。
というわけで、私も自分なりにですが、脚本術の観点から泣けなかった理由を分析してみることにしました。
脚本術を勉強中ということをご了承の上、お読みくださいまし。

****

私がこの映画で感動できなかった理由。
それは……

「この脚本が、誰でも感動するような形式を取っていないから」

これに尽きるような気がするんです。
私が初めて手に取った脚本術に、こんなことが書いてありました。
以下、抜粋して紹介します。(注釈:ページ最下部)


感動とは、読み手が持つ「心の抑圧」を解放すること。
心の抑圧を解放する手段は、三つ。

1、抑圧を与えて、解放する方法
 これは小説や映画など、物語形式で一般的に用いられるもの。
 誰でも感動できる形式。
 物語の最初で抑圧を与えて、後半でそれを解放することで、感動を得ることができる。

2、抑圧を与えずに、同調することで抑圧を解放する方法
 これは、失恋ソングやガン患者の会などがあてはまる。
 同じシチュエーションの人にしか抑圧を解放させることができないが、ピンポイントで深い感動を与えることができる。

3、「鏡」を見せる方法
 ロールシャッハテストのように、極度に抽象化された、それでいて何か意味がありそうなものを見せると、見せられた人は自らが勝手にイメージして理屈付けを始める。この時、その人自身が持つ抑圧を、その抽象的なものに見出す傾向がある。
 これによって抑圧を解放するという方法。
 「ねじ式」や「エヴァンゲリオン」、PCゲームの「ゆめにっき」など。



以上、こんな3つの方法があるそうで。
私が勉強しているハリウッド式の脚本術は、1の方法にあてはまります。
ハリウッド式脚本術=誰にでも理解できるもの。
save the cat では、国や人種が違っていても理解できるもの、原始人でも理解できるものを書こう、と明記されていました。
誰でも理解できる=たくさんの人が見る=ヒットする、ということのようです。
そのため、人として誰でも理解できるような、本能的な抑圧が必要とされています。
そして物語の展開は誰でも分かりやすいように、主人公はこういうことに困っていて、それがこうなってこうなって、こうなったから、こんな結末を迎えた。
と、ちゃんと説明してくれる方法です。

でも「君の名は。」は、どうも1じゃなさそうで。
2か3のいずれかだと思うんです。
3の例にあげられている作品を私は観たことがないので判断が難しいですが、「君の名は。」は恐らく2なんじゃないかなぁと。
いや、わかんない、3かもしれない。
とにかく1じゃないことだけは確か。

できれば2と3が、どういう形式を指すのかもっと詳しく知りたいところです。
が、きっと、理論だてて他人に教授できるのは1の形式だけで、他2つは教授するのが難しいんだと思います。
作者のセンス・感覚だけがすべて、みたいなことだと思います。
だから教科書は作れないんじゃないかなぁ。

身近に「君の名は。」で大感動し何度も映画館に足を運んだ人がいて、まぁ夫なんですけど、彼に聞いたんです。
どこでどう感動したのかと。
この映画の感動どころについて教えてほしいと。
とにかくあなたが感動した理由と、私が感動しなかった理由が知りたいと。

そしたら、「どうもこうもねぇ!」みたいな返事が返ってきまして。
夫はどうという理由もなく、吸い込まれるようにミツハに感情移入して、感動したとのこと。
私は、この映画は感動するには説明不十分だと感てじていました。
感動するための材料がそろってないし、提示された材料さえ回収されず、「なんだこの映画!?」と感じたからです。
ところが、夫は私が欲した説明や回収など別になくてよかったし、そんなことされたら逆に冷めるとか言い出したんです。

一番泣きそうになったシーンを聞くと、彗星が割れはじめ、町のみんなに避難を促して駆けずり回るところだったのだそうです。
ミツハたちが非難を促してもみんな逃げてくれず、もうだめだ、このままではみんな死んでしまう、みたいなシーンです。
悲しみとか、むなしさとか、そういう絶望感で泣きそうになったのかと聞くと、夫は逆だと答えました。
絆を感じて感動したと。

い、意味が分からない…。
あのシーンで絆なんか感じるか??
不思議すぎて掘り下げたくなりました。

それでよくよく聞くと、夫は「君の名は。」をミツハ視点でこんな風に見ていたのです。
私の言葉で説明します。

@ミツハは父親に従順というか、口答えしたり、意見できない性格を持っている
@そのせいか、漠然とした不安を抱えている
@そのため、安心したい、自分を守ってくれる人との絆を感じたい、と心底では思っている
@勇気を持てず、言いつけを守り、大人しく生きてきたのがミツハ
@そんな中タキと出会い、特別な絆を感じ彼を好きだと自覚したミツハは、不安ながらもタキに会いに行く
@ところが、実際に会えたタキは体の入れ替わりが始まる前のタキなので、ミツハを見ても「誰? お前」と答える
@ひどく傷つくミツハ、そのまま地元に帰り、彗星落下で死ぬ
@しかし時間のねじれに気づいたタキが、時間を超えてまで死んだ自分を助けに来てくれたことに、強い安心感や切れる事のない絆を感じるミツハ
@また、彗星落下が迫り、町民の避難計画を実行するあたりでは、彗星が落ちるなんていう嘘みたいなことをテッシーたちが無条件に信じてくれたことが嬉しいし、安堵しているミツハ
@その安堵あってこそ、信じてもらえなくてもいいから町民に避難を促す、という行動を取れているミツハ
@この時点でタキはそばにいないが、タキやテッシーたちが自分を無条件に信じてくれていること、守ってくれていること、責めないで寄り添い、何があっても手助けしてくれること、それがミツハに勇気を与える
@彗星で死ぬかもしれないピンチな状況だけど、心の中は自分史上最高に、不安から解き放たれているミツハ
@タキの名前はすっかり思い出せなくなってパニックではあるが、「絆」という強い安堵がミツハを動かし、父親に意見する(町民を避難させて!)という決断を可能にさせる

と、こんな映画として見ていました。
なにこれ、こんな説明されたらめっちゃ感動できる映画じゃん…。

でも私が、なんの説明もなくこの映画をこんな風にとらえられるかというと、完全にムリです。
そんな視点、浮かびもしません。
だからこそ、この映画は2か3の形式なんだと思うんですよ。
夫がこの映画をこんな風にとらえることができたのは、自分の中にある抑圧と同調したか(2)、自分の中にある抑圧をあてはめたか(3)です。
私は2も3もしなかったから、感動できなかったんです。
今こうして説明されたら感動できるというのは、1の形式が持つ作業を夫がしてくれたからです。
夫が言うには、タキ視点で観て感動してる人もいると思うとのことです。
夫の話を聞いた限りの印象としては、多分これは、2の形式の映画なんじゃないかと思います。

基本的に私は、1の形式の物語が好きです。
「同調」できる作品に出会った記憶がないっていうのもあるかもしれませんが、映画を観る時に、感情移入して感動したいとは思ってなくて。
起きた出来事、それにまつわる人間模様、そういうのを説明されて理解したいというか。
映画=作者の意見だと思うから、「どんな意見かな?」とか、「そうかそういう意見か」とか、相手(作者)の言い分をフンフン聞いて、あとは自分がそれを好きかどうか、感動するかどうか、になります。
主人公が私とはまったく状況が違う人でも、1の描き方をしてくれれば、十分感動することはあります。
登場人物を自分にあてはめて観ないので、感動の種類は「分かる、分かるよぉ! 言葉にできないけど、この映画、胸にくるよぉ!」とかじゃなく、「この人、こんなにダメっこだったのに、頑張ったねぇ! 心入れ替えて良かったねぇ!」とか、そんな種類の感動が多いです。

私の場合は、同調ではなく、同情です。
その人の身になってみれば、どんな人生も感動必至。そんな感覚です。
登場人物にシンクロするんじゃなく、登場人物の隣でずっと見てる感じ。
ずっと見てたから、あなたがそうなる理由分かるよ、あなたが幸せになってくれて私も嬉しいよ。
そんな感じです。

だからね、私がこの映画を観たまとめとして書いておきたいのは、この映画に感動できなくても大丈夫なんだぜってことです。
「同調できる人にしか感動できない(2)」もしくは「自分の抑圧を当てはめた人にしか感動できない(3)」という描き方がされてるんだから、もしあなたが感動できなかった場合、「あー、自分の中にはこの映画に対する同調要素はなかったし、自ら抑圧を当てはめてとらえるという作業もしなかっただけなんだな。そしてそんな人間は、日本では少数派だったんだな」でいいんです。

そして、この映画に感動できなかった理由として、「脚本がなってないからだ」みたいなことを言わなくてもいいんだと思うのです。
確かに1の形式で描いてくれれば、感動できなかった派は感動できると思います。
でも、あの形式だからこそ深い感動を覚えた人たちは、どうなりましょう?
1の形式で描かれたら、彼らにとって大した感動じゃなくなっちゃうんです。
父親との確執はどうなった?など描かれたら、彼らにとってはいらない情報が増えちゃうんじゃないでしょうか。
大感動が小感動になっちゃうなんて、それはそれで可哀そうだし、もったいないことだから、この映画はこの脚本で万事オッケーだったんだと思うんです。

でね、この映画、ハリウッドで実写化するって決まったそうじゃないですか。
恐怖の予感がしてる人が多数いるみたいですけど、
ある意味、感動できなかった派にとっては楽しみじゃないですか?
もしかしたらハリウッド方式で、つまり1の方式で、描いてくれるかもしれないんですよ。
そしたらさ、私でも感動できる作品になるんじゃないかなー。
1の描き方したら、日本版で感動した人たちは怒るかもしれないんだけどさ。
作品のコアな部分が継承されて描かれるんだったら、1の方式になるくらいは、大目に見て許してほしいなーとか思ったりなんかする。




***

(注釈)
今回紹介した3つの感動形式は、以前、インターネットで無料公開されていた脚本術の読みものでした。
確か「シナリオの方程式」というタイトルだったと思います。
私は「葛飾、最後のピース」を、これを参考に完成させました。
当時はファイルがダウンロードでき、印刷したものが今でも手元にありますが、表紙などは印刷しなかったため正確なタイトルが分かりません。
今でも検索すれば関連HPに行けるので、興味のある方は検索してみてください。
著者は、中村あやえもんさんという方だと思います。





(潮)映画「君の名は。」のビート-3

君の名は。
11 /27 2017
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****


◆第3幕
※)なんだかすごく自信がないけど、ここからが第3幕だと思うんだよな…。

◇フィナーレ開始
 @タキが目覚めると、ミツハの体の中に入れ替わっている
 @彗星が落下する以前に戻ることができた
 @糸守町もミツハの家族も無事にまだ生きている
 @ミツハの髪型はバッサリ切ったあと



 @ミツハのばあちゃんとの話から、体の入れ替わりが起きていたのがミツハとタキだけではなかったことが判明
 @ミツハのばあちゃんにも、母ちゃんにも、入れ替わりが起きていた
 @ミツハたち神社家系が代々入れ替わりを体験するようになっているのは、どうやら、1200年ごとに彗星が落ちることを示唆する特殊能力的ななんとかかんとか
 @舞とか口噛み酒とか、火事で失われた神事の理由も、きっと彗星が落ちることを示唆するなんとかかんとか
 @そんな小難しいことに気づくタキ



 @だが、ミツハのばあちゃんをはじめ、町民は彗星落下のことなど誰も信じてくれない
 @自力で糸守町を救うことを決意するタキ
 @唯一信じてくれたテッシーら友人と協力して、彗星落下から町民をみな生き延びさせる計画を練り、準備していく



 @彗星が落下するからと説明し、ミツハの父(町長)に、町民を避難させるよう直接かけあうタキ(ミツハの体で)
 @しかしミツハの父は反対し、「お前は病気か? 病院へ行け、話はそれからだ。妄言は宮水の血筋」とかなんとか
 @まったく聞く耳持たないミツハの父。その胸倉につかみかかるタキ(ミツハの体で)
 @ミツハがミツハでないことに気づく、ミツハの父
 @しかし説得はうまくいかなかった



 @誰も彗星落下のことを信じてくれず、「ミツハでないと説得できないのか、俺じゃダメなのか」と思うタキ
 @前日に(だったっけ?)、ミツハが東京へ行っていたことが判明。一体なぜ?
 @もしかすると今現在、自分と入れ替わっているミツハは、自分の体がある場所、つまり口噛み酒を飲んだあの祠にいるのではと思い当たるタキ
 @急いで祠へ向かう



 @一方ミツハは、祠にてタキの体の中で目を覚まし、糸守町が壊滅している風景(タキの住む現在)を山頂から見下ろす
 @自分はあの時、彗星落下によって死んだのだと自覚するミツハ



 @ミツハは髪を切る直前、タキに会うため東京へと出向いていたことが判明
 @風景、記憶を頼りに、タキを探して東京をさまよったミツハ
 @奇跡的に東京でタキを見つけるが、ミツハが声をかけても、名前を名乗っても、タキはミツハが誰だか分からない
 @今目の前にいるタキが、体の入れ替わりが始まる前のタキ、つまり3年前のタキだと気づいていないミツハ
 @別れ際、髪を結っていた組み紐をタキに渡すミツハ
 @タキは祠へ向かいながらこの出来事を自力で思い出し、ミツハは3年前に会いに来てくれていたのだと知る
 @手首に巻いている組み紐をもらった相手は、3年前のミツハだったと判明



 @祠のある山頂に到着
 @時を超えて、今同じ場所にいるだろうミツハを探すタキ
 @名前を呼ぶタキの声が時を超えて聞こえ、ミツハもすぐ近くにいるだろうタキを探す
 @声を頼りに、互いを探す二人。声ではすぐ隣にいると分かるが、姿は見えない
 @黄昏時のほんの一瞬、やっと、初めて、互いの姿が見える
 @それとともに、体の入れ替わりも元に戻る



 @再会の喜びもつかの間、彗星落下からみんなを避難させなければいけない二人
 @もう互いの名前を忘れないよう、ミツハの手のひらに自分の名前を書くタキ
 @ミツハもタキの手のひらに名前を書こうとするが、その瞬間、黄昏時は終わり、二人は再び分かたれる
 @一瞬で目の前からミツハが消え、3年後の山頂に残されるタキ
 @やっとミツハの名前を思い出した、もう大丈夫。そう確信するのに、またしてもあれよあれよで名前を忘れていくタキ



 @彗星落下直前に戻ったミツハ、テッシーらと練った計画通りに町民を避難させようと奮闘
 @だがその間にも、タキの名前を忘れていってしまうミツハ
 @計画通りに事は運ぶが、危機感のない町民の避難は遅々として、彗星落下まで間に合いそうにない
 @タキの名を思い出せない事にパニックなミツハだが、テッシーに促され、直談判のため父の元へ走る
 @町長である父が彗星落下を信じてくれさえすれば、迅速な町民への避難指示が出る、みんな助かるはず
 @だが父のもとへ向かう途中、ミツハらの計画(いたずら扱い)は役所によって阻止され、町民の避難が止まってしまう



 @走りすぎて派手にすっころぶミツハ
 @町民の避難は止まってしまうわ、タキの名は思い出せないわで、心折れそうなミツハ
 @タキとのことに現実感がなくなっていくミツハだが、手のひらにはタキが書いたはずの彼の名がある
 @と思いきや、タキの名は「好きだ」の文字にすり替わっている
 @文字はすり替わっているが、その文字があるということは絶対に夢じゃないはず
 @再び奮い立つミツハ
 @猛ダッシュで父のいる町長室にたどり着く



 @彗星のかけら、糸守町に落下
 @爆発
 @からの、町壊滅



 @一方タキ、山頂にて目覚める
 @自分がなぜこんなところに倒れていたのか分からないタキ



 @彗星落下から8年の時がたち、時間軸は映画のオープニングに戻る
 @社会人になったタキ
 @以前、奥寺先輩と男友達その1と糸守町へ行ったことはあるが、その時のことはぼんやりとしか記憶にないタキ
 @なぜ当時の自分がそんなにも、糸守町にこだわっていたのか分からない


◇FINイメージ
 @タキがミツハを助けに行く前とは、現実が変わっている
 @糸守町に彗星のかけらは落ちたが、町民はみな無事に助かった
 @当日は偶然にも、町をあげての避難訓練がされていたので、かけらの落ちた場所には誰もなかった。という現実になっている



 @社会人のミツハとタキ
 @映画のオープニングにもあったように、お互いに欠落感を抱きながら暮らしている
 @街中ですれ違うが気づかないタキとミツハ
 @なんかもう、胸中の欠落感にもやもやもやもやもやしながら暮らしてる
 @そんな生活を続ける中、並走して走る別々の電車内に互いを見つける二人
 @目が合い、奇跡的にやっと見つけた感爆発
 @二人とも次の駅で電車を降り、大慌てで互いを探す
 @探して探して、やっと出会う
 @互いが互いの欠落感を満たす相手を見つけたことを確信
 @互いに、忘れてしまった相手の名をたずねあう



おしまい


****

【感想】
どうですか、この無理やり仕分けた感!
そりゃそうだよ、ハリウッド式のシナリオじゃないんだから。
無謀すぎたな。
でも勉強になりました。
この映画に関しては、もう少し書き留めておきたいことがあるけど、それはまた今度。
別記事にします。




(潮)映画「君の名は。」のビート-2

君の名は。
11 /26 2017
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****


◆第2幕

◇おたのしみ開始
 @前前前世の曲に合わせて、軽快に入れ替わりの日々が続いていく
 @ミツハとタキが、書き残せるものを駆使して互いに交流し始める
 @タキには奥寺先輩という片思いの相手がおり、入れ替わったミツハの手腕で、タキと先輩の仲は急速に発展していく



 @ミツハの体に入ったタキの、とある一日
 @タキはミツハが先日作った口噛み酒を、ミツハのばあちゃん、妹とともに、山頂の祠へ奉納しに行くことに
 @その道中、ばあちゃんによる「むすびとは何か」の説明
 @むすびとは……神の力。糸をつなげることも、人をつなげることも、時間が流れることもむすび。水でも米でも酒でも、人の身体に入ったもんが、魂と結びつくこともまたむすび
 @組み紐とは……神の技。時間の流れそのものを表している。縒り集まってかたちを作り、捻れて、絡まって、時には戻って、途切れて、また繋がる



 @奉納の後、タキが山頂から見下ろした湖はまだひとつ



 @タキとミツハの入れ替わり生活は続く
 @タキは制止していたが、ミツハは奥寺先輩とタキの間柄を、デートの約束をするまでに発展させてしまう
 @しかし実際に奥寺先輩とタキがデートに行ってしまうと、突然涙があふれだすミツハ(タキへの特別な思いを自覚)
 @奥寺先輩とのデートで写真展を訪れたタキ、先日山頂から見下ろした湖の写真を発見。飛騨と判明。食い入って見つめる
 @デートの最後、奥寺先輩から、「あなた昔は私のことが好きだったけど、今は別の好きな子がいるでしょ」と指摘されるタキ



 @どうやらこの日(タキと奥寺先輩のデート日)は、ショックのあまり学校をさぼったらしいミツハ
 @しかしその夜は村祭りがあり、友達のテッシーらから誘われ出かけることに
 @村祭りに現れたミツハは長かった髪を、ばっさりボブにまで切っていた。失恋を疑うテッシー


◇ミッドポイント(絶不調)
 @村祭りの最中、空に彗星が現れる
 @それはずいぶん前から、世紀の天体ショーと日本中が盛り上がっていた彗星
 @ミツハが見上げるなか、彗星はふたつに割れ欠片が落下しはじめる(そこでこのシーンは終わり)



 @一方タキは、ミツハの携帯に電話をかけてみることに
 @初めて電話をかけたがつながらず
 @この日以来、二人は体の入れ替わりが起きなくなる

※)このシーン以降、いきなり危険度がアップするということで、ここがミッドポイントだろうと思います。
ミツハはタキに失恋したみたいな状態になっているし、タキもここでミツハを失う。
二人のつながりが切れるので、とりあえず「絶不調」としました。



◇迫りくる悪い奴ら
 @入れ替わりのなくなったタキの日々
 @ミツハの住む糸守町の絵を描きまくるタキ
 @タキはその絵を持って、ミツハの住む糸守町へ行ってみることに
 @記憶を頼りに飛騨へ向かい、ミツハへ会いに行くつもり
 @男友達その1と、奥寺先輩が、その旅に同行する



 @糸守町にはだいぶ近づいているはずだが、タキの描いた絵を見せて聞き込みして回っても、誰もその風景を知る人がいない
 @3人が立ち寄ったラーメン屋の主人だけが、その絵を見て「糸守町だ」と教えてくれる
 @しかし糸守町は三年前に、彗星の落下で壊滅しており、今は存在しないと判明
 @男友達その1と奥寺先輩は、彗星落下で糸守町が壊滅したことを覚えている。タキの探していた町がそこだったと、今初めて知る
 @しかしタキは、3年前にあったというそんな大惨事を覚えていなかった


◇全部ダメになる(絶好調?)
 @ラーメン屋の主人に案内され、タキが描いた絵と同じ場所へ行ってみる3人
 @タキが描いた絵では、湖はひとつ
 @だが現在同じ場所から見える湖は、3年前の彗星落下により二つに増えている
 @タキが知るミツハは3年前のミツハだったと判明
 @二人の間に時間差があったこと、ミツハが糸守町に住んでいたのなら今はもう死んでいるかもしれないこと、それらを受け入れられないタキ
 @しかしミツハの死を示すかのように、ミツハがタキのスマホに残したメモは、タキの目の前で文字化けして消えていく



 @飛騨の図書館で、彗星落下の資料を読み漁るタキ
 @死亡者リストの中にミツハの友人たち、ミツハの家族、そしてミツハの名を発見
 @ミツハは3年前に死んでいた

※)save the cat では、ミッドポイントと全部ダメになるのビートは対になっていると書かれています。
そしてミッドポイントが絶好調であれば、全部ダメになるは絶不調。
逆にミッドポイントが絶不調であれば、全部ダメになるは絶好調。とされています。
この映画では、どちらも絶不調に見えます。
でも一応、こちらのビートは「絶好調」としてみました。
理由は、「ミツハが3年前の人間で、すでに死んでいる」という確かな情報が手に入ったからです。
タキの気持ち的にはショックな情報だけど、ミツハを探すという点ではやっとハッキリした情報をゲットできています。



◇心の暗闇
 @飛騨の旅館に泊まる3人
 @奥寺先輩は、「最近のタキは変わった。時を超えてタキとミツハが交流していたかどうかは分からないが、ミツハがタキを変えたことだけは確かだろう」という内容の発言



 @しかしタキの記憶からは、ミツハの思い出が消えていっている
 @すでにミツハの名前が思い出せなくなっている
 @失われていく記憶と戦うタキ
 @糸守町を知っていると思ったのは、3年前に彗星落下のニュースがたくさん流れていて、それで見たことがあったから? ニュースで見たことを忘れていただけなのか?
 @現実的な確信がなにもなくなっていき、「すべて自分の妄想だったのか…」と思い始めるタキ



 @奥寺先輩がタキの手首に巻かれた組み紐に注目
 @お守りがわりにたまにつけるのだと答えるタキ
 @だが、その組み紐をいつ、誰からもらったのか、思い出せないタキ
 @やはり、「絶対に、誰か大事な存在がいるはず」という感覚だけが残っている
 @そして誰かから聞いた、「組み紐は時間の流れを表す」といった内容の言葉は、記憶にしっかり残っているタキ


◇第3幕への侵入・選択
 @翌日、一人であの祠へ向かうタキ
 @口噛み酒を奉納した記憶を頼りに山へ登り、祠を目指す
 @その道中、ミツハのばあちゃんが語っていた「むすび・時間の概念」といった言葉を反芻するタキ
 @山頂で祠を見つけ、ミツハとの交流は本当にあったことだと確信を持つタキ
 @「人の身体に入ったもんが、魂と結びつくこともまたむすび」なら…と、祠の中でミツハの口噛み酒を飲むタキ
 @これで再び二人が結びつき、また体の入れ替わりが起きるかもしれない



 @祠の中で足を滑らせ、転倒するタキ
 @倒れながら目に入ったのは、祠の天井に描かれた、二つに分かれる彗星の絵



 @突如、異空間に吸い込まれるように、時間の渦の中を旅するタキ
 @タキは、受精卵が細胞分裂を始めるところから、ミツハがこの世に誕生し、成長していく過程を怒涛の勢いで見ることになる
 @そして彗星落下により、ミツハが死ぬところまで。ミツハの一生を見せられたタキ



つづく




ぐろわ姉妹

実の姉妹が小説を共同制作しています

ぐろわ姉妹
潮八(姉):発動する人
斑丸(妹):調整する人