2016年11月18日 - さかえのよ

(潮)小説「カラフル」を分類してみる

◆脚本術/ジャンル仕分け
11 /18 2016
※この記事にある分類は、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ネタバレしてます。


***




◆小説「カラフル」
ジャンル:金の羊毛

今日は映画じゃなくて小説。

森絵都さんの本。
題名だけで、読みたかった作品。
人生についてのことが書いてあって、きっと、人間そのものを色にたとえている。
色んな色があるね、こんなにカラフルだよ、みんな違ってみんないい。
そんな内容なんだろうな、と題名だけで当たりをつけていた作品。

で、結局はやはり、そういう落ち着きどころの作品でした。
「十人十色、世界はなんてカラフルなんだ」
作中でそんな風に書いてあったかは覚えてませんが、主人公が学ぶのは、そんなことだったと思います。
なんだろな、やっぱり映画よりも記憶があいまいになりますね。
小説は。
私の脳内映像化技術がオソマツだからでしょう。

この作品も、ベンジャミン・バトンと同様、「人生の岐路」か「金の羊毛」かで迷いました。
私はこの2つのジャンルがどうも好きみたいです。
よくよく、引っかかる。
好きとはいっても、金の羊毛の中では、ロードオブザリング的なのにはあまり興味がなく。
「人生についての答えを探してる系」の、書き方が違えば「人生の岐路」なんじゃない?っていう金の羊毛が好き。
つまりは、人生の岐路が好き。

で、カラフル。
今回は、一応「金の羊毛」で落ち着いてみました。
たぶん、内容的に「金の羊毛」ではないかと。

主人公は、大きな過ちを犯して死んだ魂。
このままでは輪廻の枠から外され、消滅してしまいます。
その魂が「修行」のチャンスを与えられる。
今まさに死の淵にいる少年の体に乗り移り、その少年のフリをして再び下界で暮らすのです。
少年のフリをしつつ下界で暮らすうち、自分の犯した過ちを思い出すことができたら、そこで修行終了。
見事、輪廻の枠に戻れます。

こんな冒頭なので、金の羊毛っぽい。
金の羊毛とは…

●「道」がある
●「仲間」がいる
●「報酬」がある

主人公が手に入れたい原始的な「報酬」。
カラフルの場合は、「輪廻の枠に戻る」こと。
そのために主人公は「道」に出て、なんらかの旅をしなければならない。
カラフルの場合は、「下界」に戻り、修行をしてこなければならない。
主人公の旅には「仲間」がつきもので、彼らは主人公にはない能力などをもち、主人公を手助けする。
カラフルの場合は、修行のガイドとして現れた「天使」がそれにあたる。

読んでいて、すんごく日本的だなぁと思ったのが。
主人公のやる気のなさ。
下界へ旅に出る気ない。
超、イヤイヤ。
修行してまで輪廻の枠に戻るつもりもない。
行けって言われるから、仕方なく。

こういうの、save the cat では、やっちゃダメって言われてる。
初めはイヤイヤでもいいんだけど、とにかくなんらかの理由をつけて、主人公が自ら踏み出すように仕向けなきゃいけないとか書かれてる。
イヤでもやらなきゃいけない、切迫した理由とか出せと。
自らの意思で第二幕に入っていかなければならない。
そうでないと、観客がついてこない的な。
動機がアマい感じにうつるのかな。

ちょっと否定的なこと書いちゃってますけど、カラフルの書き方が悪いと言いたいわけではありません。
ドラクエの主人公もだいたい、こんな感じで受動的だし。
こういう主人公は日本人向けで、逆に共感しやすいという人も多いのだろうと思います。

でも、でもね。
save the cat で言われてることも、やっぱり一理あるなって思ったんです。
実際にこの小説読んでみて、あんまり引き込まれなかったのですよ。
イヤイヤで第二幕に入っていくところまでは、私も日本人なので平気でした。
でもその後も、主人公がけっこう長い間、受動的なんです。
「これのために」、下界での修業を頑張ろう。
そう思い始めるのが遅く感じました。
ストーリーの途中、主人公が、「体を借りている少年が生き返れるよう、自分が修行を頑張ろう」って思い始めるのですが、それがかなり最後のほうだったんです。
もうちょっと初めの方でそうなってくれれば、感情移入しやすかったのかなぁとか、save the cat を読み返しながら思ったり。

でもね、内容はすごく好きな作品だと思ったのです。
かなり初期段階でオチが読めるんだけど、それもまたイイんですよね。
主人公(魂)の正体は、のりうつった少年だった、っていう回帰なオチ。
自分の体に乗り移って修行していた、っていうオチ。
オチに確信を持ちつつ読み進める快感がたまらなくイイ。
主人公が「視点を変えて物事を見る」的なことに気づくのも好物系だし。

save the cat が禁忌にしている、主人公がイヤイヤで、長いこと受動的で、っていうのも、日本の若年層向けとしてはイイのかもしれません。
逆にこの「感じ」が、日本の若い人にはいいのかも。
感情移入がしやすいのかも。
なんかもう、そんな感じとっくに忘れてる私はBBA(ーー;
最近ね、RPGとかも楽しくないんだよね、アハハッ!

save the cat が一理あるって思ったのは、あの本は「万人向け」を目指しているからです。
もしカラフルの主人公が、save the cat にそった動きをしていたら、「私でも」感情移入できたんだろうな、と思えたから。
save the cat は、「誰にでもわかる」とか、「原始人でも感情移入できる」とかが目標。
どの国で上映しても、一定数に観てもらえる映画。
そのための脚本術だから。
なるほどなーって。たしかになーって。

けど、日本人が日本人のために作ってるんなら、そんなのムシでいいと思うし。
日本の中でも、年齢層ごとにツカミは違うと思うし。

もしカラフルが若年層だけじゃなく、成人層も読者として視野に入れてたなら、自然と主人公のイヤイヤ感はなくなってたんだと思うな。
save the cat どうこうじゃなく。
自然とそうなってたと思う。
どの年代層でも感情移入できるように。
それをしてないってことは、きっと初めから、ピンポイントに年齢層を限定してるんだと思います。
そういうやり方もアリだし、需要は確実にあるはずだよなって思いました。

以上。





***

おまけ。


カラフル。
こないだ言ってた、ずっと読みたかったけどスルーしてた本ってこれでした。
一人称だから、今は読みたくないななんて思ってたんですけど。
不意にやっぱり読みたくなって。
でも図書館行ったら見当たらなくて。
諦めて帰ろうかななんて思ったら、「何が出るかな?」的なコーナーを発見しまして。

図書館員がテーマにそって、三冊ずつ選んだよ!
新聞紙で包んだから中身が見えないよ!
さぁ、何が出るかは借りてからのお楽しみ!
君ならどのテーマを選ぶ?

基本的には、活字離れしてるという若年層に向けてのコーナーでした。
中身もたぶん、中高生向けの本が入ってる。
でもオイラは見事に引っかかったね。
だって自分じゃなにを読んでいいか解らんし、テーマで絞ってくれるなんて、こういうの助かる。
どれにしようかな?
それぞれのテーマを見てるうち、その中に「カラー」っていうのを発見。
カラー!
直感的に、この中に「カラフル」が入ってると思い、ソッコー手に取ってカウンターへダッシュ。
見事に入ってたので、これはもう読めってことでしょう、と一日で読みました。
若年層向けだからかな、読むのにまったく時間がかからなかった。
カラフルは、題名と黄色い表紙が気になってただけなので、若年層向けだとは知らなかった。
思春期をとっくに終えてしまった私にとっては、主人公が母親の浮気を毛嫌いするくだりとか、父親を人でなしのように感じる部分などは、ほとんど共感できなくて、そのせいで感動とまではいかないけど、内容は好物でやはり面白かったです。

ぐろわ姉妹

実の姉妹が小説を共同制作しています

ぐろわ姉妹
潮八(姉):発動する人
斑丸(妹):調整する人