2017年03月14日 - さかえのよ

(潮)映画「チャッピー」を分類してみる

◆脚本術/ジャンル仕分け
03 /14 2017
※この記事にある分類は、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ネタバレしてます。


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記事の整理をしていたら、ずいぶん前に書いたジャンル分けの記事が下書き状態で眠っていたのを発見しました。
保存された日付見たら、去年の4月でした。
忘れすぎ。
もったいないので、本日UPします。
(^-^)/

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◆映画「チャッピー」
ジャンル:スーパーヒーロー



これは、警察用として開発された人型ロボットが、自分の意思を持ったらどうなるかという話です。
通常は、人間警察官のかわりに危険な場所へと進撃し、命令通りに犯人確保などを行うこのロボット。自分の意思はありません。
ですが、何百体といるロボットの中の1体が、開発者の手により実験台として人工知能を搭載されることに。
ただのロボットでなくなったこの1体はチャッピーと名付けられ、アクシデントから警察側ではなく犯罪者側と行動を共にすることになります。

スーパーヒーローは、特別であることを描くジャンルだそうです。
他とは違う能力を持ち、それゆえに周囲からは理解されず、それでも最強の悪漢を倒さなければならない。
そんな感じのストーリー。
最強の悪漢を倒すのはみんなのためになることなのに、それを感謝されるのはかなりあとになってからで、戦いの最中はむしろヒーローのほうがみんなから嫌われているという構図。
少数の仲間はいても、基本切なく、孤独な戦い。

たぶん王道のエンディングとしては、
「悪漢を倒しました、みんながヒーローに感謝します、大団円」
ってな感じなのでしょうが、この映画はちょっと違う方面に流れていったのかなと思います。

最後に悪漢を倒すものの、みんながヒーローに感謝するというシーンへは行かず。
チャッピーが人目を忍び、重症になったり殺されてしまった仲間二人(人間)を、自分と同じ人型ロボットへと生まれ変わらせるという展開になります。
そこでエンドです。
これは人間では開発できなかった技術で、意識(魂)をデータ化することに成功したチャッピーの功績です。
データさえあれば、生前の意識をそのままロボット内に移植可能、永遠に生きられる、となったわけですが、それが今後どういう展開を呼ぶのか解らないまま映画は終わっています。

作品のテーマはきっと、「人間とロボット、どっちが優れているか」といったところだと思うのです。
メタファーも散りばめられているようで、アメリカという名の仲間キャラが悪漢に殺されるとか、悪漢はクリスチャンだとか、チャッピーが自分を開発した人を「創造者」と呼ぶなど、社会的な背景とか宗教的な背景とか解れば、もっと楽しめる作品のようです。

サイモン・バーチに続きまたまた詳しくはないのですが、キリスト教では「罪と赦し」というのは重要なポイントですよね。
赦すとか赦さないとか、他の映画でもキリスト教徒のキャラが言ってるのをよく見かけます。
これが、作中ではかなり重要な描かれ方をしていて。

作中、悪漢クリスチャンは非常にヒドイことをするのですよ。
生きてる人間をね、自分の操る遠隔ロボットで無残に殺すのですよ。
それは、チャッピーが慕っていた仲間なのですよ。
これにチャッピーは猛烈な怒りを感じるのです。
で、遠隔操作していたところまで行って、悪漢本人をぼこぼこにするんです。
でも、チャッピーは彼を殺しはしない。
「赦す」のです。

人間であるこの悪漢は、もっと些細なことも赦せなかったんです。
チャッピーを開発した者の功績をねたみ、そのねたみから命を狙うまでに暴走していきました。
でもチャッピーは悪漢の最大の罪であろう「殺人」すら、「赦す」とした。人間でもないのに。
チャッピーには人間以上の知性がある。
見ている側としては、「どっちが優れてる?」って考えさせられます。
本当に人間って素晴らしいの?って。

チャッピーが最後にロボット化させた仲間は、「創造者」と「ママ」です。
ちなみに「パパ」は死ななかったので、人間のまま生きています。
どうやら、創造者、ママ、パパ、チャッピー、の4人で生きていくつもりらしいです。

宗教的な目で見ると、色々と考えちゃうだろうなっていう作品でした。
問題提起するような作品なのかな。
面白かったです。

※アメリカというキャラの惨殺シーンは、日本版では2秒ほどカットされているようで。
それが重要なシーンだから映画会社はブーイングを受けているようですが、まぁ、カットされていても何が起きたかは想像できます。
私の場合は、想像したシーンはそのままちゃんと当たっていました。
確かに重要なシーンだし、カットするのはもったいない。
できればちゃんと全部見させてほしいし、見ることによってのみ起きる、感情の盛り上がりってもんがあるんだよなとは思う。
私も、カットするなとは思う。
でもそれ以上に思ったのは。
そこをカットされても内容が通じる、何が起きたか解る、そんな作リ方になっているのが素晴らしいと思いました。





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