(潮)映画「君の名は。」を分類してみる - さかえのよ

(潮)映画「君の名は。」を分類してみる

◆脚本術/ジャンル仕分け
01 /19 2017
※この記事にある分類は、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ネタバレしてます。


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今から、映画「君の名は。」のジャンルについて考えてみたいんだけど、実はまだこの映画を見ていません。
小説のほうは読みました。
映画については、鑑賞した方のレビューとか、生の声とかを聞いただけです。
だからかなりの勢いで推測だし、大したことは書きませんし、自分が忘れないためのメモです。
映画と小説に違いはあるそうですが、まったく別物という次元でもないそうなので、ジャンルについて書いてみます。

この映画を観た方は、途中でビックリ展開になると皆さん口をそろえておっしゃいます。
今まで体入れ替わり系のラブコメかと思っていたら、突如、彗星が地球に向かって落っこちてくる展開になるからだとか。
そこがこの映画の面白いところのひとつだそうです。

私自身、映画を観てないからハッキリとは書けないのですが、なんで皆さんがここでビックリするかというと、「save the cat」でいうところの「ジャンル」がここで切り替わるからじゃないかと思うのです。

映画のスタートはこんな設定、展開から始まりますよね。
1…とある男女がいて、二人の体が入れ替わる
2…しかもきっかけは、入れ替わりたい(生まれ変わったら男になりたい)と願ったこと
3…二人はウマが合わない真逆のキャラ
4…でも力を合わせて、入れ替わるという現状をなんとかしなければならない

ここで観客側は無意識ながら、ジャンルの予測をするんだと思うのです。
1、2の要素は、「魔法のランプ」というジャンルに属すもの。
こうなりたいと願った結果、その魔法が手に入り、本当にそうなる。
これが魔法のランプ。
これをもとに、3、4の要素を加味した結果、観客はこの映画を「ラブコメ要素の入った、魔法のランプ」だろうと思い込むんじゃないでしょうか。

だからしばらくは、「魔法のランプ」のつもりで映画を観ている。
なのに突如、彗星落下の危機がやってくる。
なんだなんだ、思ってたのと違うぞ!?
って観客は驚く。
この、「一般市民が彗星落下を阻止せねばならない」という展開に、観客はこう思うのではないでしょうか。
この映画は「難題に直面した凡人」ジャンルだったのか!と。

何の落ち度もない一般市民がいて、彼が突如としてとんでもない事態に巻き込まれる。
普通の人が、異常事態に立ち向かう。
この異常事態をなんとか切り抜けなければ、自分やみんなの命がなくなる。
最悪、地球がなくなることもある。
そんなジャンルが「難題に直面した凡人」です。
ダイハードや、アルマゲドンの世界です。
サバイバル要素が入ったジャンルです。

「君の名は。」は、男女二人の体が入れ替わらなくなったあたりからが、第2幕だと思います。
二人の体が入れ替わった、学校でどうのこうの、うそでしょ、ホントなの?、どうのこうの、夢でしょ?、夢じゃない?、どうのこうの。
というあたりは全部、第1幕だと思います。
観てないからどこまでって言えないけど…。

この3幕構成にもビックリの要素があって。
「魔法のランプ」だと思って観ている観客は、二人の体が入れ替わったところからが第2幕、と感じていると思うのです。
だからジャンルだけでなく、構成の上でも、彗星落下にビックリするんだと思うのです。
まだ本題に入ってなかったのかよ!と。
今までのドタバタ劇はセットアップだったのかよ!と。

映画のCMなどには、基本的に、第2幕における「お楽しみ」というビートを使うのだそうです。
観客はその映像や展開を楽しみにして、見に来るのだそうです。
「君の名は。」が宣伝でよく使っていたのは、「二人の体が入れ替わってる!?」というシーンですよね。
そこからしても、観客はいい意味でだまされたのかな。
第2幕ではなく、第1幕内のシーンを宣伝にしていたということですから。
予測とは違った映画を見せられた感じがすると思います。

彗星落下を阻止しなければならない、阻止できなければ大切な人や街を失ってしまう、という難題に直面した凡人、瀧とミツハ。
もうね、体が入れ替わるという「魔法」がある時点で本来なら「凡人」ではないのだろうけど、ジャンルが難題に直面した凡人になっているので、その魔法もコミコミで「凡人扱い」になってると思います。
現実世界が舞台な場合、必然的に「体が入れ替わる=魔法」になってしまうと思うのですが、この映画では「魔法が起きている状態が普通」になったところから第2幕に入ってるので、観客側ももうその魔法を魔法でないつもりで見てるのかなと思います。

それで、まぁ、入れ替わりの魔法を駆使しながら、二人は彗星落下を阻止しました。
そこで大団円かと思いきや、そうはならない。
この映画にはずっと、「相棒愛」ジャンルの要素が付きまとってるんです。

相棒愛の要素…
●初めて出会った二人は、お互いに嫌いあっている。
●でも交流しなきゃならない状態を続けているうちに、相手の存在が必要で、二人そろって初めて一つの完成体になることが分かってくる。

これらをまとめると瀧とミツハは、

●魔法によって出会い、交流しながら、
…魔法のランプ

●互いが互いにとって必要な存在、大切な存在、運命の人(相棒・パートナー)であるとわかり、
…相棒愛

●彗星落下を阻止するという難題を力を合わせてやってのけた
…難題に直面する凡人

ということになるかと思います。
なんと、3つのジャンルをまたいでる!

映画見てないから、どういう作りになってるのかホントにわかんないけど、この内容がよく短時間にまとまったなぁと思います。
普通の映画よりも短いですよね、確か。
すげぇや。
途中で互いのことが記憶から消えていくのは、「魔法」が解けていくからで、その辺の切なさが、「会いたいけど会えない、私に必要なあの人」という相棒愛の要素を盛り上げてるんだろうなぁと思います。

観終わった後の観客は、どんな思いになるんだろうね。
3つのジャンルを怒涛の勢いでいっぺんに見せられたから、きっと、頭が飽和状態だよね。
このジャンル急展開についていった人だけが、感動できたのかな?

多分だけど、今まで映画好きとか、映画鑑賞に慣れていた人のほうが、君の名は。を観たときガッカリするのかもしれない。
「なんだ、この映画!?」って違和感覚えて、「つまらない」って思うのかもしれない。
「新しい」って思えた人か、「新しいかどうかも分からない、映画初心者」みたいな人が意外と楽しめるんじゃないかな。と思った。

この映画がヒットした理由のひとつには、この「ジャンル混合の意外さ」もあったんじゃないかなと思います。
もちろんほかにもいろいろ理由はあるよね。

あー、あと、怒涛展開なのにもかかわらず、上手にまとめられたのは、きっと音楽を使ったアイデアのおかげなんだろうなと思いました。
PV映画とか言われたりするらしいけど、きっと効果としてはミュージカルみたいなもので。
感情や状況を歌にすることで、ぎゅっと濃縮。
時間短縮するテクニックだと思う。

映画は何回も見ないとジャンル分けしたり、ビート分けできないから、今回はこれだけにしておきます。
さすがに映画館で何度も見るお金ないし、放送されるのが楽しみ。
いろいろ間違ってたらごめんなさい。


【2017/1/26 追記】
書き忘れ。
この映画のジャンルは3つにまたがっていると書きましたが、総合的なジャンルは「相棒愛」だと思います。
そこが完結して初めてエンドなので。
ほかの二つは付属品みたいなものかなぁと。




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