(潮)映画と小説の違いに思いをはせる - さかえのよ

(潮)映画と小説の違いに思いをはせる

雑感
01 /20 2017
映画には、小説が原作っていうのがたまにあって。
原作とはほとんど別物になってるものと、まぁまぁ原作に沿ってるものとあるらしい。
ほんで、どちらも見た人の感想の中には、こんなのがある。

「まったくの別物ではなかった。
だが、映画では物足りなく感じた。
映画では描き切れていなかったものが、小説では細かく書いてあるので理解が深まった」

こういう感想読むと、そうかぁって、なんか唸ってしまう自分がいる。
今からこういう感想に反対するような意見を書くけど、こういう感想がダメって言いたいんじゃないです。
色んな理解の仕方があっていいし、色んな楽しみ方があっていいし。
小説と映画をどっちも見て、物語への理解が深まるなら。
そしてそれが楽しいなら、そのやり方がその人にはあってるから。

私は、ね。
小説よりも映画のほうが親しんできているからね。
小説のほうが細かく書かれていた、だから映画のほうが駄作って思っちゃう人がいるなら、なんか寂しいなって思うだけのことなんです。

多分、映画と小説って楽しみ方が全然違うと思うんです。
比べちゃならんと思うのです。
両者を併用して楽しみが倍増するなら、とてもいい組み合わせになるとは思う。
でも原作と映画を比べて、どっちが良かったかって結論になると、なんか寂しい。

映画って「演劇」だから、「演劇」に慣れてないと、気づかないもの、見落とすもの、たくさんあると思うんです。
「演劇」って、言葉じゃないから。
文章じゃないから。
「動き」の中に描写のすべてがあるから。

映画館で映画を観る場合、劇場で舞台演劇を見るのと同じように、観客の意思で巻き戻すことは不可能ですよね。
自分のペースで進めることも不可能。
小説との決定的な違いはそこなんです。
小説と違って、演劇を楽しむためには、動体視力だったり、目や耳に入った情報を覚えておく短期的で瞬発的な記憶力なんかが、実は必要だったりするんです。
与えられる情報に対して、完全受け身状態。
どんな球でもキャッチするための能力が必要。
それらは生まれ持った身体能力みたいなものだと思うんだけど、「慣れ」で使えるようにもなるとは思います。

あと必要なのが、「セリフや表情の裏にある感情や情報を、読み取る能力」です。
「演劇」が大好きな人たちが映画を作っている場合、言葉で表現するのをとにかく嫌います。
言葉じゃないもので「伝えたい」んです。
これは芸術家のエゴかもしれないし、サガみたいなものなんだと思います。
まぁ、言葉にしなければ時間も短縮できますし、長々しゃべらせてる場合じゃないってこともあるでしょう。

あとね、舞台演劇だと、人間の動き以上のスピードは出せないわけだけど。
映画だとさ、編集でいくらでもスピードアップできるじゃないですか。
最速だと、ババババッってフラッシュバックみたいなこともしやがるじゃないですか。
これ、瞬きしてたら見落とすレベルだったりしますよ。
そんな速さで、言葉じゃないものを伝えてきやがるんですよ。
人間なら誰だって、日常生活で人の表情読んだりしながら生きてるだろうけど、それはどうやっても人間の速さの中での話ですよ。

映画が伝えてくる速さが、宇宙人レベルの時ありますよ。
そうやって情報がぐいぐい詰め込まれた2時間を、覚えてられるかって話ですよ。
覚えてられたら、そのぶん、映画であっても深い理解ができますですよ。
私は覚えてられませんよ。
一回見ただけじゃ理解なんて半分もいきませんよ。

映画がね、小説に劣らないくらい、描き切ってるんじゃないかって最近思えるようになったのは、脚本術やり始めてからですよ。
メモを取りながら、何回も映画を巻き戻して見るわけです。
すると一回目にはわからなかったもの、見えなかったもの、気づかなかったものが、見えてくる。
伏線的なものが、かなりの勢いで、わざとらしいくらいに提示されてたことに、気づいたりする。
なんでこれ、気づかなかったかなぁー?って思うくらい。
ただその情報が時間的にはめちゃくちゃ一瞬だったり、表面上の会話に気を取られたりしてしまうから、見落としたり、記憶に残らなかったりして、結果的に「映画のほうが描き切れてなかった」って思っちゃうんじゃないかなって思うんですよ。

作るほうだってさ、作るからには気づいてほしいだろうからさ。
結構、大胆に目の前にぶら下げてたりするんだな、って思います。
そんなに何度も見てくれる人もいないだろうからさ。
できれば一回で気づけるように。
けど、一回じゃ気づかないよね。
かなりの演劇鑑賞名人じゃないとさ、気づかないよね。

つまり、今日のこの記事の着地点はさ、映画を理解したいなら何回も見ろ、ってことでいいんじゃないかな。
それかもう、映画と小説はセットで売り出すのを基準にしたらいいんじゃないかな。
君の名は。みたいに。
みんなの理解が深まるなら、それが一番楽しいじゃん。


ぐろわ姉妹

実の姉妹が小説を共同制作しています

ぐろわ姉妹
潮八(姉):発動する人
斑丸(妹):調整する人