(潮)映画「パンズラビリンス」のビート-2 - さかえのよ
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(潮)映画「パンズラビリンス」のビート-2

パンズラビリンス
03 /07 2019
※映画のネタバレしてます。
※この記事にあるジャンルやビートは、私が「save the cat」という脚本術の本を参考に分けたものです。断定的に書いてはいますが、練習ですので間違っている可能性が十分にあります。ご了承ください。
※ジャンルやビートの説明については、このブログでは特にいたしません。ご自身でご確認ください。
※ジャンル分け記事同様、ビート分け記事も個人的なメモ要素が高いので、意訳になっていたり、映画を見ていないと解らない表記もあると思います。そのへんはもろもろお許しを。
※◇がビートです


*****


◇セットアップ続き
 @大尉がゲリラ制圧の作戦を立てている
 @ゲリラは森に隠れているので、食料が渡らないようにしおびき出そうという作戦
 @その作戦を盗み見しようとするメルセデス



 @オフェリアの母カルメンのベッドルームでは、医者がカルメンに睡眠薬みたいなものを処方する
 @寝る前に2滴飲むだけでいい薬



 @廊下でメルセデスと医者が密談
 @「足のケガがひどいから看てあげてください」とメルセデス
 @「こんなことしか協力できない」と紙包みを渡す医者
 @メルセデスが振り向くと、その様子を見ていたかもしれないオフェリアと目が合う



 @母とオフェリアは同じベッドに入り、親子水入らずな会話をする
 @建物がきしむ音がする
 @ここでは大人と子供の違いが提示される
 @子供…暗闇やお化けが怖い
 @大人…あれはお化けではなく草木の音、家鳴りの音
 @子供…プレゼントくれるの?(大好きな)本かな?
 @大人…いいえ、もっといいものよ(新しい服)
 @子供…ママはなぜ再婚したの?
 @大人…一人でいるのはつらいから
 @子供…私がいる。ママは一人じゃない
 @大人…あなたも大人になればママの気持ちが分かるわ



 @お腹の子供が動き出して苦しみだすカルメン
 @オフェリアに「弟におとぎ話を聞かせてあげて」とお願いするカルメン
 @おとぎ話を始めるオフェリア



 @そのおとぎ話の内容は…
 ・昔、遠く離れたある不幸な国に、黒くて荒い岩でできたとても大きな山があった
 ・日が沈むとその山の頂では、摘んだ人に永遠の命を与えるという魔法のバラが咲く
 ・でも誰も近づこうとはしなかった
 ・なぜならそのバラのトゲには猛毒があったから
 ・人々はみな死の恐怖や痛みを語ったが、永遠の命を話題にしようとする者はいなかった
 ・そして魔法のバラは永遠の命の恵みを誰にも与えることなく、忘れ去られたまま
 ・冷たく暗い頂でこの世の終わりの時までひっそりと咲いては散っていった

 @おとぎ話の途中で映像は大尉の部屋に切り替わり、大尉が手入れをしている懐中時計が映される
 @画面には大尉が映されながら、オフェリアのおとぎ話は終わっていく



 @自室で、とても丁寧に懐中時計の手入れをする大尉
 @そこへ医者が登場し、カルメンが弱っていることを告げる

大尉「よく休ませよう、私はここで寝る。息子は順調か」
医者「ご心配なさることはありません」
大尉「ならいい」
医者「奥様は臨月です、旅をするべきではなかった」
大尉「お前の意見か?」
医者「医者としての私の意見です」
大尉「息子は父親のもとで生まれるべきだ。下がれ」
医者「ひとつお聞きしますが、なぜ男の子だとお分かりに…?」
大尉「ふん…そうに決まっている」



 @発砲音がしてゲリラを見つけたと部下に呼ばれ、出向く大尉
 @ここで大尉の人情味のない独裁軍人ぶりが明示される
 @行ってみるとみすぼらしいじいさんと若者が二人だけ
 @じいさんも若者もウサギ狩りをしていただけだと訴える
 @「私が判断する」と大尉が言ったにもかかわらず、若者のほうが「父の言うことに間違いはありません」と言う
 @その途端、若者を殴り殺してしまう大尉
 @そして「よくも息子を! あんたは悪魔だ」と吐くじいさんもついでに射殺
 @二人を殺した後、じいさんの荷物から死んだウサギが出てくる
 @「持ち物をよく調べておけ、私を呼ぶ前にな」と部下にすごんで、その場を去る大尉
 @(恐ろしい人……)ってシンとする部下たち


◇きっかけ

 @母と寝ているオフェリアのベッドに、昼間のナナフシがやってくる
 @妖精らしく姿を変身させたナナフシに誘われ、オフェリアはあの石門へ向かう
 @石門の先には大きな井戸のような深い縦穴があった
 @その穴の底でパンに出会うオフェリア
 @この時のパンの自己紹介は…

パン 「私は山であり、森であり、大地でもある。つまり私は守護神のパン。あなたにお仕えする忠実なしもべであります」

 @パンはオフェリアこそが、大地の下に広がる魔法の国の王女モアナだと言う
 
オフェリア「私の父は仕立て屋で…」
パン「あなたは人間ではない」

 @その証拠に左肩に王女のしるしがあるとパン
 @この穴は魔法の国へ帰る入口だが…

パン「まずはあなたが以前のままか確かめなくては。時を経てただの人間になってしまってはいないかどうか」

 @パンによると満月の夜までに3つの試練に耐えれば、オフェリアは王女と認められる
 @道しるべとなる本と小さな巾着をオフェリアにたくし、消えるパン
 @本には何も書いていない


◇セットアップ続き
 @大尉が自室でひげをそっている。毎日の習慣ぽい
 @ブーツを丁寧に磨き上げる大尉
 @メルセデスにあのじいさんが捕まえたウサギを示し、料理するよう言いつける大尉
 @メルセデスの出したコーヒーを「煮詰まりすぎている、飲んでみろ、火にかけているときは目を離さないようにするんだ」と言う大尉
 @いちいちコーヒーがどうのとか文句つけてくる大尉は、陰では使用人たちに不評


◇悩みの時
 @今夜は晩餐会だからと、カルメンはオフェリアに新しいドレスと靴をプレゼントする
 @「とても素敵」と言うオフェリアだが笑顔はない
 @ドレスを着る前に風呂へ入るよう言われるオフェリア
 @だがオフェリアは風呂場でパンからもらった本を開く
 @白紙だった本にオフェリアのやるべき試練が浮かび上がってくる


◇第1TP
 @まだ乗り気ではなさそうなオフェリアが、鏡に映った自分の左肩を見る
 @風呂場の外からはカルメンが「早くこのドレスを着てみて。お姫様のようになるのよ」
 @オフェリアの左肩にはパンの言った通り、王女のしるしとなるアザがある
 @アザを見つめて笑顔になるオフェリア、「お姫様よ」とつぶやく



*****



【ここまでで覚えておきたいこと】
・カルメンの飲んだ薬が2滴だったこと
・駐屯地の建物(製粉所)は家鳴りがひどいこと
・オフェリアの語ったおとぎ話のバラは、摘んだ者に永遠の命を与えるということ
・そしてひっそりではあるが、この世の終わりまでそのバラは咲いているということ
・大尉がヒビの入った懐中時計に並々ならぬ思い入れがありそうなこと
・なぜお腹の子が男の子とわかったのかと問われた大尉の答えが、「そうに決まっている」だったこと
・パンがオフェリアに対し「私はあなたの忠実なしもべです」と言ったこと



【大尉の人間像解釈】
ここまでの大尉は、誰もが恐れる無慈悲な軍人として描かれています。
しかしそれは、周囲のキャラがとにかく大尉に怯えているから観客にもそう見えている、とも言えます。
ちょっと冷静に見てみると、大尉はそんなにいつもひどいことを言ってるわけではありません。
確かにゲリラを始末するために仕事をしている時の彼は無慈悲です。
怪しい者はバンバン殺します。
でもそれ以外ではそうでもありません。

カルメンとオフェリアが駐屯地に着いた時も、彼はややぎこちないながらも笑顔で出迎えました。
それを怖い顔に変えたのは左手で握手をしようとしたオフェリアです。
調べてみたところこれが確実な情報かはわかりませんでしたが、キリスト教では左手に悪魔が宿ってると考えられ、その手で握手をするのは大変失礼なことだそうです。対決の意味もあるとか。
そんなオフェリアに大尉は「右手を出せ」と言いました。
これは「馬鹿にしおって無礼なやつめ、殺すぞ」という脅しに見えたかもしれませんが(そう演出されてる)、もしかすると彼なりに「世間知らずな娘に丁寧に教えた」だけかもしれません。

ウサギ狩りの親子にも高圧的ではありましたが、「この場の主導権は私にある。私に従うならば殺しはしない」という態度でした。
親子が殺されたのは、一度注意をされたにもかかわらず、息子のほうが出すぎた主張をしたからです。
大尉の尋問におとなしく誘導されていれば無事ただの農民だと判明し、殺されずに釈放されたのではと思います。

そしてコーヒーがまずいとメルセデスに言った時も、よく見れば脅していたようには思えません。
メルセデスの肩を優しく撫で、コーヒーの淹れ方を指南したにすぎません。
メルセデスのほうが勝手に強張っていただけにも見えます。

しかし大尉はやることなすこと優しさとはとれない、そんな空気を全身からあふれさせているのは事実です。
この後も「大尉って実はそんな人じゃないのでは?」と思えるシーンが出てきます。



【バラのおとぎ話の意味】
オフェリアの語ったおとぎ話に出てくるバラは、「純真さ」の象徴だと思われます。
大人たちが危険視して語らなくなる純真さ。
この映画は「純真さを捨てること=死」として扱われています。
純真でいさえすれば魂や心は死なずにすむのに、大人たちはそれをしなくなっていく。
彼らの心の中で純真さは忘れ去られていくが、それでも彼らの肉体が死ぬ間際まではひっそりと咲いている。
それは死ぬ間際までチャンスがあるということでもあります。
たとえ肉体が死ぬ間際でもあのバラを摘み取ることができれば、その瞬間、その人には永遠の命が手に入る。
純真さとはそういうものだと言っています。



【アリスのオマージュかな】
映画を見ればわかりますが、色んなところで不思議の国のアリスを思い出すところがあります。
オフェリアの衣装だったり、大尉の懐中時計だったり。
いろいろあるみたいですが、他に考察されてる方もいますし私はアリスに詳しくないのでここでは書きません。




ぐろわ姉妹

実の姉妹が小説を共同制作しています

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潮八(姉):発動する人
斑丸(妹):調整する人