(潮)映画「パンズラビリンス」の解釈など - さかえのよ
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(潮)映画「パンズラビリンス」の解釈など

パンズラビリンス
03 /07 2019
ビート仕分け記事の続きです。
こんな長い記事を最初から読んでくださった方、ほんとにありがとうございます。
さぁさぁ、私の情熱がそろそろ噴き出し終わりますよ。


*****


【オフェリアはどこへ帰ったのか】

覚えてますでしょうか、冒頭で姫が逃げてきたとされる国が暗く光の届かない世界だったことを。
そして気になりませんでしょうか、ラストでオフェリアが帰ったとされる国が光輝いた金色の世界だったことが。
私は初見時、この違いが大変気になりました。
違うじゃん!
違う世界に帰ってるじゃん!
そしてビート仕分けして得た解釈がこちらです。

暗い地下王国のほうは、大尉が作ったお話。
光の王国のほうは、オフェリアが作ったお話。

何度も言いますが、私は冒頭と締めナレの声は大尉の声であると前提してこれを書いています。
その前提でビート仕分けして見えてきたのは、大尉もオフェリアと同じ心を持っているということ。
「純真さ(魔法を信じるような子供心)」を持っている人間だったということです。

純真さを押し殺して、父親からこのようにしろと言われたことに従って生きてきた大尉。
父に歯向かうこともなく従順に育った結果が、鬼軍人という仕上がり。
そんな鬼軍人として生きなければならない日々の中でも、大尉の誰にも知られることのない心の中では、ファンタジックな「おとぎ話」が流れる瞬間があったのではないでしょうか。
それが冒頭と締めを飾るナレーションの「ストーリー」なのでは、と私は思いました。
大尉の心境はほとんど説明されていないので推測の域を出てないですが、ビートが示すことと、大尉が鏡に映る自身の首を切ったシーンで私はこの解釈でいこうと決めました。

一方、オフェリアが作った話のほうはどうでしょう。
この映画を見て多くの方が感じるように、守護神パンや妖精や試練などは、すべてオフェリアの妄想だったと私も思います。
妄想でなければ夢です。現実を凌駕するほどの夢です。
幼い子供がこの辛い現実から逃れるために、自分の心を守るために見た妄想、夢。
死の間際、あまりにひどい現実の最後、オフェリアは自分を救うためのストーリーを作り上げたのです。

暗い地下王国のほうは、大尉が作ったお話。
光の王国のほうは、オフェリアが作ったお話。

つまりオフェリアと大尉、二人がそれぞれ自分の中で作ったお話。
二つの、別の妄想話なのです。
ですがこの二つの話が、まるで一つの話のようにうまく絡み合っているように見せている、そんな映画なのではないかと私は思いました。
オフェリアと大尉は本質的に似ている存在でした。
ですから作り上げるお話もまた似ている、ということなのではないかと。

ラストでオフェリアは他のどこでもない、自分の世界に帰ったのだと思います。
そして大尉もきっと…自分の世界に帰っていて欲しい。(これは私の希望)



【ハッピーエンドなのかどうか】

パンの態度は、大人が子供に躾(と称した強制・脅し)をする時とよく似ています。
パンの発言は時間の経過とともに以下のように変わります。


「私はあなたのしもべです」
(と言いつつ、このようにしろと指示)



「あなたに嘘などつくわけがない」
(と言いつつ、核心的な疑問をはぐらかす)



「約束を果たしていないようだな! そんなことが言い訳になるとでも思うのか!」
(言いつけを守れなかった子供に対し怒り、言いつけを守れない原因を退ける案を与える。そしてとっとと次の試練に向かって耐えてこいと急かす)



「だめだ、あなたはもう過ちを犯した! 試練に負けたのだ! もう二度と会うことはない、永遠にな!」
(言いつけを守れなかった失敗を責め立て、お前にはもう二度とチャンスはないと脅し、冷たくサヨナラとか言い出す)



「最後のチャンスを与えてあげよう。言う通りにするかね? たとえそれがどんなことでも質問してはいけないよ」
(子供が絶望し落ち込み切ったところで再び登場し、希望をちらつかせて言うことをきかせる。子供をコントロールし、服従させる)



「無垢なる者の血をささげなければ、扉は開かないのです。さぁ早く! そんなよく知りもしない赤ん坊のために、あなたにすべての不幸をもたらした者のために、王家の位を捨てるのか!」
(純真さなど捨てなければ未来はないと脅して強要。さぁ殺せ、無垢な心など殺して大人になれ、とせまる)



「ならば王女様の御心のままに、好きになさればよろしいでしょう」
(どうしても言うことを聞かなかった子供を見捨てるようなことを言い、いなくなる)


といったように。

こんなにもパンが「従え」と迫ってきて、色々言いなりになった時もあったけど、結局オフェリアは反旗を翻しました。
私は私の思うようにすると宣言したのです。
ですから私は、たとえパンがオフェリアの妄想だったとしても、その結果肉体が殺されてしまったとしても、ストーリーとしてはハッピーエンドだったのだと思います。
独裁者と反逆者の戦いが、映画のテーマだったからです。
その戦いにオフェリアが、反逆者が、子供心が、純真さが、勝利したからです。
その勝利がストーリーとしてはハッピーエンドなのです。

大尉もメルセデスから「あなたの名前すら教えない」とぶった切られたおかげで、魂は救われています。
大尉は自身が受けてきたこの悪しき循環を、息子に受け継がせなくてよくなったのですから。
それはきっと大尉も、心の奥底では望んでいたことです。
軍人ではない少年の自分は、そのように生きたかったはずだからです。



【パンも試練も、本当にオフェリアの妄想だったのか?】

映画を見たあとに残るのが、この疑問です。
だって現実的に、あの意味不明な迷宮と深い縦穴はそこにあったんですよ。
それは製粉所ができるよりずっと前から、そこにあったんですよ。
迷宮の入り口にはパンのような、ヤギの角を持った顔が刻まれているんですよ。
すべてがオフェリアの妄想なら、あの建築物はなんだったんだって疑問が残ります。

そして、オフェリアがカエルと出会った枯れ木に花が咲くんですよ、最後。
すべてがオフェリアの妄想なら、あの花はなんだったんだって疑問も残ります。

妄想のようで、ほんとは妄想じゃないのかもよ?
っていう終わり方なんだと思います。
おとぎ話的だね。
ファンタジー。



*****


と、この辺で終わらせようと思います。
多分書きたかったことは大体書いたと思うので。
「こんなこと覚えとけよ」って提示した伏線とか説明し忘れたとこもあるかもだけど、私はもう満足しました。
気になる方、あとはよろしくお願いします。
丸投げです。
もう疲れちゃった。

とにかくね、私がこんなに長い記事を書いてまで言いたかったのは、

「大尉はかわいい!」

ということです。
だってかわいい!
従順で真面目だったことがいきすぎて、こんな悪役になってしまったなんて。
カワイソすぎて萌え萌えアッパー!
なんかもう不憫でねぇ。
大尉をもっとちゃんと救ってあげて、誰か!
って節に願う。
大尉のアナザーストーリーをプリーズ!

最後まで妄言にお付き合いくださり、ありがとうございました。


ぐろわ姉妹

実の姉妹が小説を共同制作しています

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潮八(姉):発動する人
斑丸(妹):調整する人